本リポートの第1回は連写、第2回は動画とそれぞれの機能を確認してきたが、α55の魅力はそれだけではない。被写体にあわせてダイナミックレンジ拡大までも自動で行う「オートアドバンス」撮影モードなど、利用者の負担を軽減する仕組みも多く搭載している。これからイルミネーションが街を彩る時期に入ることもあるので、これらの機能がどれだけの効果を発揮するのか夜景を撮りに出かけた。
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α55では通常のオート撮影のほか被写体や状況に応じて連写重ね合わせによるダイナミックレンジ拡大までもカメラが自動で行う「オートアドバンス」、そしてシーンモードに「夜景」「手持ち夜景」と用意されており、「手軽に夜景の撮影をしよう」という際には4つのモードから選択できることになる。まずはこの手持ち撮影で4つを撮り比べた。
いずれもISO感度はISO1600まで上がり、シャッタースピードを1/30秒まで稼いでいる。肉眼で見た感じに比べてやや空が明るく描写されているが、全体的な雰囲気は損なわれていない。ただ、周囲が明るかったのかオートでもオートアドバンスでも撮影モードは同じ「夜景」だった。
モードごとの挙動変化が起こったのは、さらに暗い場所での撮影。ISO1600まで増感してもシャッタースピードが1/30秒を下回る状況だと、オートでは手ブレの警告が表れ、オートアドバンスは「手持ち夜景」に撮影モードが切り替わるようだ。オートアドバンスの「手持ち撮影」ではスローシャッターもしくは連写合成が行われるほか、ISO感度もオートの上限であるISO1600を越えた感度が設定される。連写合成の精度は高く、車など高速に移動する被写体が入り込んでいても上手に処理をしてくれる。
基本的に夜間の撮影についてはまず可能な限りISO感度を上げてシャッタースピードを稼ぎ、手ブレを抑制するという非常に分かりやすい方向に味付けされているが、「オート」とシーンセレクトの「夜景」ではISO感度が1600までしかあがらないので、海辺など光量の足りない場所では手ブレを起こしてしまうこともあるだろう。「手軽に失敗しない写真を」と考えるならば、オートアドバンスを積極的に使いたい。
ただ、オートアドバンスが万能かといえばそうとも言えない。今回の例でいえば同じ被写体にカメラを向けてもモードが「手持ち夜景:スローシャッター」になったり、「手持ち夜景:シャッター6回」になったりとシーン認識と適用する撮影設定に若干の迷いがあるほか、基本的に「失敗しない写真」を指向しているため、顔認識やドライブモードなどを除いて設定を施す余地がない。カメラを被写体に向けて「暗闇に浮かび上がるイルミネーションを撮りたい」といった意図がある場合、その通りに仕上げられるとは限らない。
もっとも、写真に意図を込めようと感じた時こそ、オート以外の撮影機能を使い始めるチャンスといえる。撮影モードのP/A/S/Mならば露出補正やクリエイティブスタイル、HDR、ISO感度を自由に設定できるし、ISO感度については連写合成によって最高ISO感度25600を実現する「マルチショットノイズリダクション」も利用できる。オートでの手軽な撮影から設定を詳細に追い込む使い方まで、使い方の幅が広いのがα55の大きな特徴といえるだろう。
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