　搭載する撮像素子は有効1620万画素の1/2.3型 "Exmor R" CMOSセンサーで、同社春モデル「DSC-HX9V」（レビュー）と同様だが、DSC-HX9Vがフルオート撮影を重視したユーザーインタフェースになっているのに対し、本製品は電子ダイヤルやズームリングなどによって、マニュアル撮影にも十分活用できる。

　ボディの背面には各種設定操作の際に利用する十字キーや録画ボタン、メニュー、再生ボタンなどが、上面にはモードダイヤルと電源スイッチ、ズームレバー一体型シャッターボタンとモードダイヤルの間には、AF方式を切り替える「FOCUS」とAEL／ホワイトバランス／NDフィルタ／測光モード／スマイルシャッターから任意の機能を割り当てられる「CUSTOM」ボタンが並ぶ。

ボディ上面（写真＝左）、液晶は上下に稼働する（写真＝中、右）

　3型／約92万画素の液晶は上下に稼働するバリアングルタイプで、ハイ／ローアングル時の撮影にも活躍する。アイセンサー付き（手動での切り替えも可能）の電子式ファインダーも用意されており、しっかりとホールドした際にはこちらを活用したい。

　モードダイヤルに用意されている撮影モードには、おなじみのP／S／A／Mに加え、連写と重ね合わせ処理までも自動で行う「プレミアムおまかせオート」、通常のオート撮影モード「おまかせオート」、シーンセレクト、3D静止画、動画、スイングパノラマ、カスタムプリセット（MR）が用意されており、基本的な撮影機能は「DSC-HX9V」に準じると理解すればいい。

　加えて本製品ではメカシャッターを利用した、最大10コマ／秒の連写機能を備えている。メカシャッターなので高速連写時にも画像のゆがみは発生せず、最短約0.1秒の高速AFと相まって、快適な撮影を行える。AFがコントラストAFなので、位相差AFを利用するデジタル一眼レフなみとまではいかないが、動きのある被写体の一瞬を切り取ることもそう難しいことではない。なお、最大10コマ／秒の連写はフル画素（4608×3456ピクセル）でも行えるが、連写後には7～8秒ほどメモリカードへの書き込み時間が発生する。

10コマ／秒の連写撮影からの抜粋。EXIFをみる限り、連写モード時の絞りやシャッタースピードは1枚目の値で固定されるようだ

　サイバーショットの今春モデルらしく、AVCHD方式の1080pプログレッシブ記録にまで対応している。AVCHDでの記録モードは記録モードは1920×1080／60pの「PS」のほか、1920×1080／60i／24Mbpsの「FX」、17Mbpsの「FH」、1440×1080／60i／9Mbpsの「HQ」と4種類。MP4は1440×1080／12Mbps、1280×720／6Mbps、640×480／3Mbpsの3種類と、この部分もDSC-HX9Vと同じ仕様だ。

　どの録画モードを選ぶかの注意点も、DSC-HX9Vと同じ。AVCHDの規格に1080p記録は現時点存在せず「PS」モードは同社の独自規格となるため、再生時には本体液晶またはHDMIケーブルで直接本体と1080p対応テレビを接続する、あるいは付属ソフトの「PMB」（Picture Motion Browser）を利用してPC上で行うことになる。BDレコーダーやPlayStation3など家電機器への映像取り込みを考えると、FXモードあるいはFHモードでの記録が汎用性の点からしてお勧めといえそうだ。

　高倍率ズーム機と言うことで気になる手ブレだが、ワイド端での手ブレを強く抑制する「アクティブモード」によって歩きながらの撮影については強力な補正効果を実感できるのだが、テレ端については従来通り。テレ端にて撮影する際にはしっかり両手でホールドする、あるいは三脚を利用するなどの対策を施したいところである。

　なお、動画撮影はモードダイヤルのほか背面ボタン一発でも開始可能なほか、中にも顔認識を含むシーン識別機能（11シーン×4状態　状態はオート／動き／三脚／歩きの4つ）が有効となり、光学ズームも利用できる。動画撮影中にシャッターボタンを押せば、サイズは3メガサイズになるものの静止画の撮影も可能で、撮影モードにPSを選択していれば、撮影後に動画から1920×1080ピクセルの静止画を切り出すこともできる。「ハンディカムと同じ動画機能」をうたうだけあって、充実した動画撮影機能を搭載していると言えるだろう。