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「デジタルフィルター」の使い方を作例で考えるデジタルフィルターでひと味違う写真を手軽に楽しむ(2/2 ページ)

» 2011年09月23日 01時33分 公開
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カシオ “EXILIM”「EX-ZR100」

 EX-ZR100のデジタルフィルターは「HDRアート」のみとなりますが、光源や被写体によっては面白い効果を得られます。効果の掛かり具合は3段階に調整でき、レベル1ではHDR写真風、レベル2、3と効果を強めていくと絵画のような強烈な効果となります。レベル2で撮影して、効果の掛かり具合を見てからプラス、マイナスする使い方がよいかもしれません。

photo HDRアート / これは極端な逆光のシーン。左の松林の中は肉眼で見ても真っ暗なのだが、HDRアートで撮影したところ、遠くまで均一の明るさで写し出された。右の松の階調はオート処理のため、やや表現に無理があるが、明暗差が大きいシーンでもHDRアートのレベル1なら彩度が抑えられた実用的な写真に仕上がる
photo HDRアート / HDRが必須のような逆光のシーン。強烈な効果を得られるようレベル3にしてみたところ、太陽光や雲の形、水面、水上バスや遠くのビル群などの細部が写し出され、情報量の多い写真となった
photo HDRアート / レベル3による望遠撮影。黒くつぶれていた影の部分の階調が再現され、全体的に彩度が上がり青くなっているが、橋を支えるワイヤーの黒い部分などは青くはならい面白い結果となった
photo HDRアート / レベル3で順光の写真。逆光時い暗い部分は暗いままのスッキリとした絵画調に仕上がった。イラストのようにトーンが均一になるため、部分部分を拡大してみても距離感が一定に見える面白い効果となった

パナソニック “LUMIX”「DMC-FX77」

 DMC-FX77の「マイカラーモード」におけるデジタルフィルター効果は、「これを使って面白い写真を撮ってください」というスタンスではなく、あくまで豊富な機能の内のひとつといった印象です。

 そんな大人しめのデジタルフィルターの中、サンドブラストの粒状感は独特で、この骨太な雰囲気をどう活用するかは面白いところだと思います。特にブログなどに使用する場合は、縮小画像を使わずにできれば主題部分をトリミングして等倍のまま掲載して荒々しい雰囲気を演出したいところです。

photophoto タッチパネル操作で撮影モードを選ぶ。デジタルフィルターの選択ボタンは、アイコンではなく文字となっている点が物足りなく感じるが、どんな効果なのか説明が表示される
photo シルエット / 本来であればシルエットと空と言ったシンプルな構図で撮影すべきところだが、シルエットを使うと空の濃いめの発色と雲の重厚感を出せるので、風景モードと効果的に使い分けたいところ
photo サンドブラスト / サンドブラストは、大きめのドットで構成される白黒写真で、ただ単に白黒になるのではなく無機質で荒々しい雰囲気が出せる点が特徴。雰囲気から路地裏のスナップ写真などは鉄板だが、食事の席などでも妙にハマった絵が撮れたりするので試してみてほしい
photo ピンホール / ピンホールは周辺減光のある写真撮影が楽しめる。他機種のトイカメラとは違い、やや彩度の低いあっさり目の写真とる。写真を過剰に演出するデジタルフィルターとは違い、周辺減光のちょい足し的なデジタルフィルターといった印象で、トイカメラ的な要素を求めている人には物足りなく感じるかもしれない
photo ハイダイナミック / HDR写真を撮るためのモードだが、DMC-FX77の中では一番デジタルフィルターらしい効果が得られるデジタルフィルターの1つ。逆光時に効果的な、シルエットとハイダイナミックで良い味が出る方を選んでみるといいだろう

キヤノン 「IXY 32S」

 IXY 32Sは基本的に落ち着いた発色のためなのか、デジタルフィルターを使用すると違いが明確になり、撮影のモチベーションがあがります。このメリハリこそが、写真を撮るに当たっての重要な要素です。

 前回の効果一覧では掲載していませんでしたが、夜景などの撮影で面白い効果を得ることができる「ファンタジーナイト」は、点光源が設定したハートや音符、星型などに写るので、効果を知らない人に見せると喜んでもらえる面白い効果を得られます。あまり派手な効果のため使いすぎは禁物ですが、狙い通りの効果を確実に得られるフィルターともいえるでしょう。

photo トイカメラ風 / 青空を強調するために青みがかったクールなトーン設定にして撮影。IXY 32Sのトイカメラ風の周辺減光は大きめで、いかにもトイカメラといったわかりやすい写真が撮れる点が特徴となっている
photo オールドポスター / オールドポスターと聞くと、レトロな色合いの写真が撮れるものだと思いがちだが、昔の映画のポスターのように、白黒写真に着色したイラスト風となるデジタルフィルターだ。右の木の葉がセル画風に描写されているが、明るさの表現がしっかりされている点と、奧の松の葉のタッチの対比で立体感が出ている所が面白い
photo ジオラマ風 / IXY 32Sのクリアな描写とボケ具合があいまって、ジオラマ風のデジタルフィルターでは、一番効果が分かりやすく感じる。効果を掛けたい部分にタッチするだけの操作性の良さもオススメポイントだ。ちなみに、ジオラマ風の効果を縦にかけて道路を強調するような表現方法も面白い
photo ファンタジーナイト(ハート) / 遠くをボカしつつ、ストロボ光で被写体を写し出すなど、以外と高度なことをやっているファンタジーナイト。ライトや照明、点光源などが、設定された形で描写される面白いデジタルフィルターだ。背景がハートマークで一杯の記念写真はいかがだろうか

 6機種のデジタルフィルターの一部を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。比較してみると、「この機種のこのデジタルフィルターの効き具合が良い」「このデジタルフィルターは個性的」などといった特徴が見えてきたのではないでしょうか。白黒写真も、機種によって効果が違っている点が面白いところです。

 デジタルフィルター搭載機種を持っているユーザー数人に話を聞いたところ、RAWで後で処理するから使わない、画像をいじられるのが嫌だと言う否定的な意見と、カメラの事はよく分からないけど写真が綺麗に見えるからデジタルフィルターしか使わない、パソコンの画像編集のやり方が分からないからデジタルフィルターを良く使うなど、カメラとの関わり方や、パソコンスキルによってデジタルフィルターに対する接し方が違うようです。

 カメラ購入時、中上級者は今使っているカメラとの比較、スペックなどを重視しますが、初心者の場合は、価格、デザイン、サイズなどのほかに、「デジタルフィルターを使うとこんな写真が撮れますよ」と言う訴求も機種選定の動機となるのかもしれません。

 次回は、PCを使ったデジタルフィルターの再現、スマートフォンを使ったデジタルフィルターを見てみたいと思います。

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