いやあ、もっぱら冬ですな。冬といえば夜景。
何しろ日が沈むのが早いから、夜景が撮りやすい。夕方かな、と思ったらもう夜景タイム。夏の節電タイムも終わったし(冬の節電が始まりそうではあるけれども)、年末近くなるとイルミネーションも大規模なモノから街路樹が光るのまでそこら中でキラキラと電球……いや、LEDが光り始めるわけで、被写体にも事欠かない。
難点は、やはり寒いところでしょうか。
最近はコンデジに「手持ち夜景モード」なんてのがあって、誰でも気軽に夜景を撮れるようになってきた。この「手持ち夜景」機能は実に便利で、一昔前は手持ちで撮ろうとISO感度を上げると夜空やビルの壁に盛大にノイズが乗ったものだが、最近はそんなこともなく、実にきれいに撮れてくれる。
デジタル一眼でも明るい単焦点レンズをつければ、ちょっとISO感度を上げるだけで手持ちで十分なクオリティの夜景を撮れる。でもちゃんと三脚を使い、自分でセッティングして撮るとまた違うのだ。
例えばこれ。
街灯を見ると違いが分かる。F16に絞り込んだ右の写真では、青いゴーストは出ているけれども、強い光源から星のような光芒が出てる。F1.4の方はもわんと二重に円ができてる。光芒が出た方がカッコいい。
もうひとつの例を。
F1.4でそこそこ早いシャッタースピードと、F8で13秒というスローシャッターで撮ったもの。スローシャッターで絞り込んで撮ると、街中の点光源にきれいな光芒が出るし、高速道路のライトの軌跡がきれいに明るく出る。この方が夜景らしいってもんだ。
こういう光芒がアクセントになると夜景はより夜景っぽくなる。感覚としてはF8〜F16くらいに絞り込んで、あとは撮りたいイメージに合わせてシャッタースピードを変える感じ。露出アンダー目にすると、暗い中に光だけが残る夜景になる。
露出をオーバー目にすると、街全体が見えてきて「未来都市」っぽい雰囲気になる。マニュアル露出だとそういうコントロールができて楽しいのだ。夜の街全体を撮りたいときは明るめで、特定のイルミネーションの明かりをしっかり撮りたいときは暗めで。
あ、ちなみにこの東京タワーのイルミネーションはクリスマスバージョンではないので(ちょっと前に撮ったもの)、念のため。
この夜景はもちろんビルの中から撮ってるわけだが、夜、建物の中で撮ると、何かとやっかいなことが起きる。
屋外より屋内の方が「明るい」場合、それがガラスに反射して写るのだ。夜景用展望室は照明を落としてくれているけど、非常口パネルはどうしようもない。
このようにピンポイントで映り込みがある場合、自分の後ろにあるはずのその原因と反射しているであろう場所に何かをおいて光を遮ればいい。このように小さいときは、手でも手持ちの雑誌でも何でもいいのでそれをレンズの周りであれこれ動かして、消えるポイントを探す。
するとこんな感じになる。これは手で隠した。
先月紹介した、よしみカメラの「忍者レフ」( http://www.443c.com/reflecter/index.html )を使うという手もある。
黒い面をガラス側に向けて、反射光を防ぐという技。反射光を防ぐ一番のポイントは、レンズをガラスにくっつけることだけど場所によっては難しい。
ただし、展望室から撮る場合は、場所によっていろいろ制限がある。暗幕やレフ版は不可だけど三脚はOKとか、三脚不可とか、レンズをガラスに当ててはだめとか、いろいろである。それにその場のルールをチェックすること。
この辺で撮影方法のまとめを。
三脚は欠かせない。ただし、室内でそっと撮るならそう頑丈なものじゃなくてもOK。屋外でしっかり長時間露光するとか、望遠で撮るとか、中級以上のデジタル一眼レフで撮るならそれなりにしっかりしたものが必要になる。
シャッターは自分で切らない。リモコンか2秒のセルフタイマーを使うといい。
レンズに保護フィルタがついてたら、それは外す。保護フィルタのせいで光がよけいな反射をしてゴーストがでちゃうことがあるから。
点光源の光芒をきれいに出すならF8より絞ること。
「長秒時露光」時のノイズリダクションのオンオフ設定はオンにすること。露光時間と同じだけノイズリダクションの処理がかかる(例えば、シャッタースピード10秒で撮ると、撮影後にさらに10秒待たねばならない)のでかったるいけど、仕上がりが全然違う。
ガラス越しの場合、室内の反射がでないよう工夫すること。自分の姿が反射するのを防ぐために、上着は黒。いざとなったら黒い上着を脱いだり広げたりレンズ周りをふさいだりして上手に反射光を遮る(はたから見てるととっても怪しい人だけど、それはそれ、ということで)。
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