ITmedia NEWS >

「絞り」を変えると写真の何が変わるのかデジイチ初心者応援

» 2012年07月13日 10時00分 公開
[mi2_303,ITmedia]

 デジタルカメラにおいて、写真の明るさとなる「露出」は、「シャッタースピード」と「絞り」それに「ISO感度」の関係によって求められます。これらは相関関係にあるため、例えば「ISO感度 100、シャッタースピード 1/125秒、絞り F5.6」で適正露出とカメラが判断する状況で、ISO感度を固定したままで絞りをF8にすれば、シャッタースピードは一段明るい1/60秒に調整されることになります。

 絞りとシャッタースピード、それにISO感度の関係は以下に解説記事があるために細かな説明を避けますが、絞りは明るさに関係するだけではありません。では、この「絞り」を変えると、写真の何が変わるのでしょうか。

photo

絞りを変えてみる

 絞りを変えることで、被写界深度と呼ばれるピントが合って見える範囲を調整することができます。絞りを開けばピントの合う範囲が狭まり、写真ならではのボケの表現が可能となります。逆に絞りこむことでピントの合う範囲を広げることができ、全体的にピントの合った写真を撮影できます。

 下の3枚の写真は、ニコン「D3200」とキットレンズ「AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR」の18ミリ(35ミリ換算 27ミリ相当)側を使用し、同じ位置から絞りを変更しながら撮影したものです。

photo 絞りF3.5
photo 絞りF8
photo 絞りF22

 ピントはすべて約3メートルほど先に合わせていますが、先に説明したようなボケの変化が感じられません。よく見てみると遠景の建物がF8やF22では形がハッキリと写っており、絞り込むとピントの合う範囲が広くなるということは分かりますが、ボケという観点からすれば大きな差は確認できません。

ピントの位置を変えてみる

 絞りとボケの関係は被写体との距離と関係します。次の3枚の写真は、同じ18ミリ側で被写体にぐっと近づいて撮影したものです。

photo 絞りF3.5
photo 絞りF8
photo 絞りF22

 どうでしょうか? 被写体に近づくことで背景が大きくボケるようになり、絞りの変化に応じてボケの大きさが変わるようになりました。F3.5はイメージカットのような幻想的な雰囲気となり、F8では手前のポールに視線が行くような主題がわかりやすいカットに、F22ではどのような場所で撮影したのかが分かる状況説明的なカットとなりました。写真の表現意図としては3枚目のカットを最初の例で示したように、ピント位置をもう少し遠くにすることでさらに全体的にピントが合ったようにすることもできます。

 このように絞りとピント位置を変えることで、自分がイメージする写真の雰囲気作りができます。

F1.4レンズを使用してみる

 最後に、キットレンズより明るく、作例で提示した18ミリより焦点距離が長い50mm/F1.4のレンズ「AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G」を同じくD3200に装着(35ミリ換算 75ミリ相当)を使用して絞りの変化をみてみましょう。被写体までの距離は約1.5メートルです。

photo 絞りF1.4
photo 絞りF8
photo 絞りF16(初出時、こちらのF値について記載が誤っておりましたので、訂正させていただきます。2012/7/17 11:10)

 F1.4では奥の葉が大きくボケて、木の幹も手前だけにピントが合ったような写真となりました。F8にすることで木の幹にピントが合うようになり、F16にすることで奥の葉の形が分かるほどハッキリ写るようになりました。焦点距離が長く明るいレンズを使用することで、被写体に接近して撮影することなく大きなボケが得られました。

絞りをどう変えるか

 全体にピントがあった写真を撮影する場合は絞り込んで(F値の大きくする)撮影すれば良いのですが、ボケの量をコントロールして撮影する場合の絞り値にはセオリーはありません。

 例えば、最後の作例で木の幹を表現したいと思って撮影した場合、撮影者によっては作例のF8よりF5.6の方がボケが大きく見えるのでそちらの方が良いと判断することも考えられますし、柔らかなシルエットのF2.8の方が雰囲気が良いという思うかも知れません。絞りは撮影者が良いと思う値が正解で良いと思います。

 とはいえ、最初から絞りを決めて撮るのは難しいと思いますので、とにかくたくさん撮影して経験を積むことと、迷ったら絞りを変えながら撮影してその中から良いと思うものを選ぶこと、そして他の方が撮影した写真をよく見ることが大事です。絞りを変えて撮影することは、自分の個性を表現できる奥の深い楽しみでもありますので、ぜひチャレンジしてみて下さい。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.