次は「単焦点」レンズをご紹介します。単焦点レンズはレンズ構成をシンプルにできるがゆえの「高画質」「軽量」「レンズの明るさ」が特徴です。とくにレンズの明るさは最大のメリットで、ダブルズーム(ダブルレンズ)キットに含まれる、いわゆる標準ズームレンズなら開放(もっとも光を多く取り込む状態)でF3.5程度ですが、単焦点レンズではF2.8や明るいものだとF1.8、高級レンズですとF1.2といったものもあります。レンズが明るいと撮影シーンが大幅に広がります。次に明るさについてのメリットをご説明しましょう。
撮影モード設定ダイヤルを「S」(キヤノンの場合はTv)にセットして、「シャッター速度優先AE」にして屋内でフラッシュなしで撮っていると、時々F値を表示している部分が点滅し、撮影した写真は暗く仕上がる。そういった経験はありませんか? それは光量が足りず、そのシーンにおいてはそれ以上シャッター速度を速くすることができないのです。
フラッシュを使わずに光量不足を解決する方法は2つ。ISO感度を上げるか、レンズを明るくするかです。ISO感度はご存じのとおり数値を上げていくと、シャッターを速く切ることができます。ですが、カメラ内部で電気的に光量を増幅しているので、感度を上げすぎるとどうしてもノイズが乗って、写真がザラザラした感じになります。かと言って、シャッター速度が遅いと被写体ブレを起こしてしまうので、なんとも悩ましい限りです。
そこで出番となるのが明るい単焦点レンズ。レンズが明るくシャッター速度を速くできるので、室内で動き回る子供やペットを撮る際には大活躍すること請け合いです。そのほかでは、ガラス越しの水族館で泳いでいる魚を撮る場合などにも役立ちます。
もうひとつ、明るいレンズならではの特徴として、ピントを合わせた部分以外がボケやすいというのもあります。被写体以外をボケさせることにより、主役を引き立たせることができるので、とくに人物などを写すポートレート撮影では威力を発揮します。
このように表現の自由度がよりいっそう増す単焦点レンズですが、デメリットとしてはその名が示すとおり、「単焦点」つまり焦点距離が変えられないで、アングルを決める際に撮影者自身が動いて調整しなけれならないことです。また、ボケを入れやすいというのも裏を返せばピント合わせを慎重にしないといけないということですので、AFを上手く使う、ときにはMFでキッチリ合わせるといったテクニックを駆使する必要があります。その分だけレンズを使いこなせばそれに応えてくれる描写性能を持つので、よりいっそうカメラの腕を上達させようと思わせるレンズでもあります。
価格もプロ用を除けば3万円〜5万円前後で購入できる製品も多いので、ダブルズームキットの次に、レンズ交換でステップアップするレンズとしてはこちらもイチオシです。
次回はキヤノン「EOS Kiss X5」とシグマ「DC 18-250mm F3.5-6.3 MACRO OS HSM EO」、キヤノン「EF40mm F2.8 STM」の組み合わせ、オリンパス「PEN Lite E-PL3」に「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6」、「M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8」について紹介します。さまざまなラインアップの中から選んだ理由や、それぞれの特徴について解説いたしますのでお楽しみに。
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