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50ミリレンズの使い方を考えるデジイチ初心者応援

» 2012年08月20日 19時32分 公開
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 交換レンズには多種多彩な製品が用意されていますが、中でも焦点距離50ミリ/F1.8のレンズは比較的低価格の製品が多く、中でもキヤノン「EF50mm F1.8 II」は量販店で1万円を切る価格で販売されており、コストパフォーマンスの高いレンズとして人気です。

 このレンズをAPS-Cサイズセンサーを搭載する「EOS Kiss X」シリーズで使用すると、焦点距離は35ミリ換算約80ミリ相当の中望遠レンズとなります(キヤノン以外のAPS-C機だと約75ミリ相当となります。いずれにしても中望遠レンズです)。焦点距離だけを取り上げるならば、いわゆる標準ズームレンズである「18-55mm」などと重複しますが、単焦点であることの楽しさがあるのも事実です。

 今回は「EOS Kiss X6i」に「EF50mm F1.8 II」を組み合わせ、50ミリレンズの使い方を考えてみましょう。

photophoto EF50mm F1.8 IIとEOS Kiss X6iの組み合わせは、標準ズームレンズよりコンパクトで軽くなります(写真=左)、コンパクトな「EF50mm F1.8 II」と標準ズームレンズ「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS II」(写真=右)
photophotophoto EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS IIの広角端(18ミリ)は広い範囲が写り(写真=左)、EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS IIの望遠端(55ミリ)は写る範囲が狭まります(写真=中央)。EF50mm F1.8 IIはほんの少しだけ写る範囲が広がりますが、広い範囲を写すのは苦手なレンズです(写真=右)

カメラ散歩に50ミリレンズ

 50ミリレンズに慣れるには、いつもの街並みやよく出かける場所へのカメラ散歩がオススメです。APS-Cサイズ機&標準ズームレンズに慣れた身からすると、50ミリレンズを取り付けたカメラのファインダー越しに見える景色はいつもより狭く、窮屈な気分になるかと思います。

 50ミリレンズは、広角レンズのような広がりや奥行きの強調はできませんが、目で見るような自然な奥行き感が特徴となります。少しレンズの個性が弱いのですが、その無個性こそがこのレンズの特徴で、日常的な表現であるテーブルや机の上の被写体のほか、標識や看板、目に付いた色・形など何かを凝視するような感覚で使用すると良いでしょう。

photophoto なにげない日常に光と影を見つけて撮影(写真=左)。自分の視点で撮影できるので何を撮りたいのか明確にすることができます(写真=右)
photophoto ハートマークに見える模様を見つけたのでその部分をクローズアップ(写真=左)。浮き輪の全体を写さなくても影の形で浮き輪の丸をイメージさせることができます(写真=右)

F1.8の明るさを生かす

 キヤノン「EOS Kiss X6i」を例にすれば、標準ズームレンズ「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS II」の望遠端である55ミリの最小F値はF5.6ですが、これに比べると「EF50mm F1.8 II」はより明るく、速いシャッタースピードでの撮影や、ボケを生かした撮影が可能となります。

 ほとんどの単焦点レンズには手ブレ補正が付いていませんが、標準ズームレンズの望遠端(F5.6)でシャッタースピードが1/15秒のシーンでも、光を多く取り込める50mm F1.8レンズの絞り開放であればさらに速いシャッタースピード1/160秒で撮影が可能となります。また、ミラーを備える一眼レフならば、ファインダー越しで被写体を明るく見ることができるのも、そのまた特徴といえるでしょう。

photophoto 標準ズームレンズでは出せないボケによる被写体の表現(写真=左)。明るいレンズなのでシャッター速度を速めて、水滴をとらえることもできます(写真=右)

 標準ズームレンズの望遠側は被写体を大きく写すことができますが、50mm F1.8レンズのような大きく背景をボカした表現は苦手です。被写体に近づいて撮影すると印象的なボケ方をする写真撮影を楽しめるのも、このレンズの特徴です。

photophoto F1.8レンズならば、ボケが大きいので被写体を浮かび上がらせることができます(写真=左)。普段見慣れた自然な奥行きとボケで写真ならではの空気感を演出できます(写真=右)

 単焦点レンズはズームレンズに比べると、不便に感じることも多く、何でも撮れるレンズとはいえませんが、撮影者が工夫して撮ることで被写体の良さを生かすことができます。こうして考えて撮影することが写真撮影の楽しさでもあります。こうして50ミリレンズで経験した被写体の見方や被写体との距離の取り方が、ズームレンズの望遠側の撮影方法にも自然と生かされると、今まで以上にズームレンズを柔軟に使えるようになると思います。

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