オリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8」は、マイクロフォーサーズ用の中望遠レンズです。35mm判換算で150mm相当の焦点距離を持ち、開放値はF1.8に対応。人物や動物の表情をアップでとらえたり、薄暗いシーンを自然光を生かして撮るのに最適なレンズといえます。
外装は高品位な金属製。オリンパス製マイクロフォーサーズ用レンズの中では、やや大柄で重めですが、それでも全長は69ミリで、重量は305グラム。一眼レフ用の大口径中望遠レンズに比べるとコンパクトで、持ち運びは苦になりません。
AFはほぼ無音でスムーズに作動します。幅の広いフォーカスリングによるマニュアルフォーカス(MF)の操作感もまずまずです。最短撮影距離は84センチで、最大撮影倍率0.1倍。近接撮影はあまり得意とはいえません。
光学性能は優秀で、絞り開放値から、ピントを合わせた部分はシャープでクリアな描写となります。歪曲や色収差、周辺減光も気にならないレベル。さらに、円形絞りによるボケ味が美しく、四隅まできれいな丸ボケを表現できます。
焦点距離がやや長めなので、撮る被写体は限定されるかもしれません。また、一般的な望遠ズームや高倍率ズームに比べると、構図の自由度は高いとはいえません。しかし、切れ味の鋭い描写と美しいボケの両立は、ズームレンズでは味わえない大きな魅力。自分の写真がマンネリ化してきたと感じる人や、ほかの人に差を付けた写真が撮りたいと思う人にお勧めしたいレンズです。
今回は、この明るい中望遠レンズを持って、動物園や水族館をめぐってきました。まず向かったのは、北の僻地にありながら全国区の知名度を誇る人気スポット、旭山動物園です。ここは、動物たちを目の高さで見られる工夫が随所になされており、彼らの表情をアップでとらえるには打って付けの場所。特に「もぐもぐタイム」と呼ばれる餌やりの時間は絶好のシャッターチャンスといえます。
撮影時の注意点はピント合わせです。この焦点距離75ミリのレンズを使って、絞りを開放値のF1.8にセットした場合、1〜2メートル付近の近接撮影では、被写界深度は1センチ前後しかありません。つまり、動物の顔を画面いっぱいのサイズでとらえた場合、目にピントを合わせると鼻や口はボケて写ります。AFでもMFでも、ピント合わせには慎重さが必要になります。
確実にピントを合わせるには、無理に開放値を使わずに、絞りを少し絞り込んで撮ったほうが安全かもしれません。ただ、動物をクローズアップで撮る場合、皮膚や毛の表面までシャープにピントを合わせると、生々さが、グロテスクに感じることがあります。絞りを開けて、ふんわりとしたボケのある写真を狙うか、あるいは絞りを絞り込んでリアルに写すかは、好みや状況に応じて判断するといいでしょう。
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