前回は50ミリレンズの使い方を説明しましたが、今回はダブルズームキット付属の望遠ズームレンズの楽しみ方についてです。旅行、運動会、スポーツ観戦など、あると便利なレンズなのですが、逆を言えばそれ以外の用途ではあまり持ち出さずにいるのではないでしょうか。
望遠ズームレンズは、遠方に撮りたい被写体がある場合において重宝しますが、標準ズームレンズに比べると被写体に近寄れなかったり、被写体が大きい場合は一部分しか写せなかったりと思ったように撮影できないこともあります。このような特性があるので標準レンズの補助的なレンズと感じてしまうかも知れませんが、望遠ズームレンズには望遠ズームレンズの楽しみ方があり、これを理解すればより楽しめるレンズとなります。
写真はキヤノン「EOS Kiss X6i」のダブルズームキット。レンズは標準ズームレンズの「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS II」と、望遠ズームレンズの「EF-S55-250mm F4-5.6 IS II」が付属する望遠ズームレンズの便利な点はなんといっても、目に付いた遠くのものを大きく撮影できることです。例えば、ビルの合間から見えるランドマークとなる建物など。遠くに見えるスカイツリーも望遠ズームレンズなら簡単に大きく写しこむことができます。今回はこのような記録的な写真ではなく、景色に意味を持たせたり、ちょっとしたユーモアを写真に込めることを考えてみます。
街を歩きながら面白い形、模様などを探してみましょう。例えば、ビルのガラス一面に映っている空がキレイだと感じたり、建物の屋根の形がケーキのように見えたりと、自分の中で何か違ったイメージで景色をとらえることが出来たら望遠ズームレンズで景色を切り取ってみましょう。
望遠レンズと広角レンズは写せる範囲が違うだけではなく、写真表現としての効果に違いがあります。広角レンズ(短い焦点距離)では、近くのものは大きく写り、遠くのものはより小さく写ります。そして望遠レンズ(長い焦点距離)では遠くのものが引き寄せられたように(遠近感が薄まったように)大きく見えます。この特性を「圧縮効果」と呼びます。
この圧縮効果を利用すると、まばらに咲いている花をまるで隙間なく咲いている花畑の様に見せることもできます。また、同じものが連続しているような景色を望遠レンズで切り取ると、その密集具合から「うるさい」、「暑苦しい」印象とさせる写真表現も可能となります。


標準レンズで撮影すると地面が見えて地味な印象(写真=左)。望遠ズームレンズの望遠端ならチューリップがたくさん咲いているように見えます(写真=中央)。撮影ポイントを変えるとまた違った雰囲気に撮影できます(写真=右)圧縮効果は、本来の景色とは異なるような虚像を写し出す「演出」となるテクニックです。コツは手前と奥の被写体を上手くファインダー内に収めるようにすることです。この効果は望遠ズームレンズならではですので、色々な景色を撮影して感覚を身につけてみて下さい。
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