空は面白い。今まさにどんよりした雲の下にいたり、長雨が続いてたりする人には申し訳ないが、空の眺めるのは面白いのである。
雲と太陽の位置関係で刻々と表情が変わっていくのが面白い。水平線近くでモコモコと雲がわいてくるのが面白い。低層の雲と高層の雲が重なってそれぞれが違う光の受け取り方をして複雑なコントラストを見せてくれるのも面白い。
特に秋から冬にかけては空の青さがくっきり出るので、空をぼーっと眺めるにはよいのだ。
というわけで、最近撮った空の写真を引っ張り出してみたのだが、多かったのがiPhoneで撮った写真。あ、今の空は面白い、と思ったとき、とっさに取り出せる一番身近なカメラがiPhoneであることが多いのだ。もうひとつ、「今の夕焼けがすごいよ」と伝えたいとき、iPhoneなら撮ったその場でチャチャッと共有できる。
iPhoneで空を撮るときのポイントは2つ。ひとつはHDR。
ほとんど設定のないシンプルなカメラ機能のiPhoneだけど、HDRだけはオンオフできる。さらにHDR撮影時にHDRしてない写真も記録するという設定ができる。HDRオンオフ両方を同時記録するモードにしておくのがお勧め。空を撮るときは、HDRをしない方がコントラストが強くてはっきりした写真になるから。HDRがオンだと階調が柔らかくなりすぎて陰影が弱いのだ。
もうひとつは露出。iPhoneのカメラには露出補正なんて機能はないが、タップしたところにフォーカスと露出の両方を合わせてくれる。で、空の一番明るいところに合わせて撮る。そうすると明るさが押さえられてぎゅっと締まった色になる。あとは水平を合わせることかな。地平線が傾いてたらちょっと締まらないから。
これは2011年の秋に突如、東京の西の空に現れた龍。一瞬にしていろんな人が見つけて写真をネットにアップしたので覚えてる人もいるかと思うけど、こういうときスマホは強い。
これをそのとき持ってたミラーレス一眼で撮り直したのがこちら。
さすがにスマホのカメラよりダイナミックレンジが広いのが分かる。たまたま昇竜っぽいというかゴッドフェニックスっぽいというか、そういう形の雲ができた時間帯がよかった。雲の向こうに太陽が沈んだので逆光になり、雲の厚いところはそのままに、薄い周辺部に赤い夕日が透けて輪郭を作ってくれたのだ。これが夕刻の西の空でなければここまできれいなシルエットにはならないもの。
そんなわけで、青と赤のグラデーションを楽しみたいなら、早朝や午後遅い時間がお勧めだ。太陽は見えてない方がいい。太陽の光は強すぎるので、いい感じに雲に隠れてくれた方が楽しめるのだ。
厚くて広い雲が西日を遮ると、空の上と下できれいに2色に分かれ、雲を下から赤く染めてくれる。
同じ空でも拡大して見るとまた違う趣になるのが空の楽しさでもある。モコモコっと3つ並んでるところが、面白かったので望遠で寄ってみた。
引きの構図より、この方がドラマチックに見える。
厚い雲の隙間から陽射しがさーっと差し込んだ瞬間。たまにこういう光の筋が見えると得した気になる。
引いてみると、太陽があの辺にあって、あの厚い雲の隙間から陽射しが……という構造がよくわかるんだけど、全体の仕組みを知りたいわけじゃないよね。普通。というわけで、一番カッコいいところだけ寄ってみる。なんかが降臨しそうな感じになってきた。
夕焼け編のおまけはこれ。
たまたま交差点で見た夕日が面妖な色彩を見せてくれてたので、信号が黄色になるのを待って撮ってみた。こういうシーンはシャドウ部が黒く締まった方がカッコいい。最近のカメラは暗部補正機能を持っててシャドウ部を勝手に持ち上げたりすることがあるので、その手の機能はオフにしておくべし。
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