コンセプトモックのインパクトは絶大だったが、機能面で不安があった。通常のコンパクトデジカメの半分以下のサイズで、液晶ディスプレイも小さくレンズは単焦点。「携帯電話やスマートフォンカメラとの差別化が難しいのではと考えた」(前田さん)
“カメラ女子”ではない女性にとって、ちょっとした撮影はケータイやスマホのカメラで十分。あえてデジカメを使うのは、旅行や結婚式などしっかりした写真を撮りたい時だ。彼女らにデジカメを購入してもらうには、スマホにないデジカメの安心感――すぐに起動でき、きちんと撮影でき、ストロボも使えるなど――が必要になると判断。ユーザーアンケートでも、「デザインはいいが、機能が心配」といった声が寄せられたこともあり、「20代女性が本当にほしいとデザイン」という軸は保ったまま、カメラの安心感のある商品にブラッシュアップして製品化した。
「EX-JE10」は、光学5倍ズームレンズとストロボを搭載。背面には2.7インチの液晶ディスプレイを備えた。サイズは82.4(幅)×55.1(高さ)×20.5(奥行き)ミリと名刺大に抑え、幅は短く切り詰めて正方形に近いデザイン。小型でコロコロかわいい形に仕上げた。女性の長い爪でもメニュー操作しやすいよう、ダイヤルキーの代わりにジョイスティックを装備。ジョイスティックは幅を取らないため、縦長ボディの実現にも一役買ったという。
「何かを撮りに行くぞと構えて持っていくのではなく、ファッションの1つとしてコーディネートしてもらって違和感がないようにしたかった」――ボディは女性の生活になじみのある質感にこだわり、“メカっぽさ”を徹底的に排除。天面にはクリア素材を採用し、光る面にはミラー加工を施すなど、化粧品のコンパクトケースのようなデザインを取り入れた。
ホワイト、ピンク、ブラックの3モデルで、ファッションのテイストに合わせて選べるようにした。ホワイトモデルは革調のケースと組み合わせ、ナチュラル系の服装に合うデザイン。シャッターボタンには、デジタル家電にありがちなシャンパンゴールドではなく、ネックレスのようなきらきら輝くゴールドを採用。同じゴールドを使ったレンズ周りのリングは、指輪のようにぷっくりと丸くふくらませた。
ピンクモデルの色は、女性が今ほしいピンク色を目指し、最後まで微調整。光沢を抑えてマットに仕上げた。「男性陣は、金属感がなくなる塗装はもったいないと思うらしいが、金属感をなくしてマットに塗りつぶすことで温かみがあり、よりなじみやすい色になった」。トカゲ皮風のジャケットと合わせ、ガーリーなコーディネートに合うようにした。
ブラックモデルはボディからケースまで黒で引き締め、モード感のある服装にマッチするデザインに。女性向けを掲げるデジカメで真っ黒なモデルは珍しいが、「黒の化粧ポーチなどはファッションアイテムとしてよくあり、開発当初から違和感がなかった」という。
それぞれ、ストラップ付きケースを同梱。「女性なんでもカバンに入れるので、カメラがカバンの奥底に入っていたりする。ストラップ付きケースなら、気軽に持ち歩いていつでも撮れる」。ケースは三脚穴でカメラに固定できるようにし、メーカー純正ケースとしての安全性も確保した。
「ウェアラブルなカメラを提案したい」。エントリーモデルながら個性的なデザインを追求し、ファッショナブルに仕上げた「EX-JE10」。かわいい物好きな女性に、“身に着けるデジカメ”を提案していく。
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