フルサイズセンサー搭載機の増大、映像制作者向けシステムの充実という、“カメラ”としての重厚な方向の展示が目を引く中、小さな変化も見られた。それが「photokina mobile」コーナーだ。今まで、photokina会場ではほとんど見られなかったモバイル関連の紹介エリアが設けられていた。スポンサーはHTC。HTC自身は、カメラ機能を強化したHTC Oneシリーズを展示したほか、コーナーでは講演も行われていた。
ほかに、スマートフォンでレンズ交換式カメラをリモートコントロールするアプリ「Triggertrap」、スマートフォンで人気の画像編集アプリ「Touch Retouch」を開発するADOVA SOFTの最新画像編集アプリ「Handy Photo」などもあったが、コーナーとしてはまだ小さいといえる規模にとどまっていた。
これはまだ小さな変化ではあるが、スマートフォンやタブレット端末を無視できなくなってきたカメラ業界の変化とも見て取れる。スマートフォンで撮影し、タブレットで閲覧するというフローは一般化しているし、大画面であるタブレットを使って撮影する人も、海外では多い。
実際、カメラメーカーから聞こえてくる声は「スマートフォンカメラ脅威論」だ。スマートフォンが普及して、スマートフォンのカメラで撮影をし、それをTwitterやFacebookなどのSNSで共有する、といった使い方が世界中で流行している。これによって、特にコンパクトデジカメは非常に大きな影響を受けている。今回、photokinaに台湾のコンパクトデジカメOEMメーカーが出展していなかったのは、こうした影響と無関係ではないだろう。
全体的にコンパクトデジカメの需要はスマートフォンに侵食されており、ソニーによればコンパクトデジカメの売り上げは漸減し、生存競争は激化している。ただ、コンパクトデジカメとしては「脅威」でも、スマートフォンカメラの普及はカメラメーカーにとって一概に悪影響ばかりではない、という意見もある。
ニコンによれば、デジカメ利用者の30〜50%が撮影画像をSNSにアップロードしているが、スマートフォンで1週間に2〜3回以上撮影するユーザーの97%(米国)または47%(欧州)がデジカメでも撮影をしているという。このことから、スマートフォンカメラをよく使う人ほどデジカメを使うことになり、こうした点がデジカメにとって「好機」という認識だ。
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