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小型軽量になった高精細描写のフィルムカメラ風ミラーレス――富士フイルム「FUJIFILM X-E1」(1/3 ページ)

» 2012年12月05日 12時00分 公開
[永山昌克,ITmedia]
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マグネシウムダイキャストの高品位なボディ

 最近の富士フイルムのデジタルカメラは、アナログ感覚のデザインと操作性が特長になっている。昨年発売した高級コンパクトデジカメ「FinePix X100」や、今年2月に発売した同社初のミラーレスカメラ「FUJIFILM X-Pro1」は、フィルム時代のレンジファインダーカメラを連想とさせるレトロなデザインを採用し、オールドカメラファンの物欲を刺激した。単なる懐古趣味でなく、絞りリングやシャッター速度ダイヤルによって、カメラの操作を自分の手で実感できることが大きな魅力といっていい。

 今回、新たに登場した同社では2台目のミラーレスカメラ「FUJIFILM X-E1」も、そんなアナログテイストを継承したモデルだ。外装は、トップカバーとフロントカバーにマグネシウム合金を使用した高品位な作り。前面から側面、背面にかけては目の粗いシボ革風のテクスチャー処理を施して、手触りのよさを高めつつクラシカルな雰囲気を醸し出している。

photo 富士フイルム「X-E1」レンズキット

 ボディの基本フォルムは長方形の箱形で、そのほぼ中央にレンズマウントを配置する。キットに付属する標準ズーム「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」を装着した際のバランスは悪くない。カラーバリエーションにはブラックとシルバーの2色が用意される。

 従来機X-Pro1から大きく変わったのは、電子式と光学式が融合した独自の「ハイブリッドマルチビューファインダー」を省き、一般的な電子ビューファインダーを採用したこと。これによってボディの幅と高さ、奥行きはそれぞれ縮小し、使用時重量は100グラム軽量化した。

photo ボタン類の基本配置はX-Pro1を継承。再生ボタンの位置が左に移動した

 ただしコンパクト化したといっても、他社のミラーレスカメラの平均的なサイズに比べるとこれでもまだ大柄だ。携帯性よりも安定感や剛性感を重視し、ボディをしっかりと支えて、ボタンやダイヤルを確実に操作できることを目指したデザインといえる。

photophoto 手ブレ補正を内蔵した新発売の標準ズーム「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」(写真=左)、電源はリチウムイオン充電池。記録メディアはSD/SDHC/SDXCカードに対応(写真=右)
photo シャッターボタンには、ねじ込み式のケーブルレリーズを装着できる

高精細な有機ELファインダーを新搭載

 ボディ天面の電源レバーを回すと約0.5秒ですばやく起動する。露出モードは、プログラムAE/絞り優先AE/シャッタースピード優先AE/マニュアル露出の全4モードに対応。絞りはレンズ側のリングで、シャッター速度や露出補正はボディ天面の専用ダイヤルでそれぞれ調整する。

photo 接眼部にはアイセンサーがあり、EVFとLCDの自動切り替えができる
photo レンズマウントには、同社独自の「FUJIFILM Xマウント」を採用する

 ダイヤル回転によって設定できるシャッター速度は1段刻みだが、1/3段刻みで微調整したい場合には、背面十字キーの左右を使用する。プログラムAEモード時のプログラムシフトについても、同じく十字キーの左右を利用する。

 このあたりの一連の操作系はX-Pro1から受け継いだもの。Qボタンとコマンドダイヤルによって主要な設定をすばやく切り替えられる点や、Fnボタンに好きな機能を割り当てられる点も継承している。欲を言えば、Fnボタン以外のボタンやダイヤルについてもカスタマイズ可能にして欲しかったところだ。

photophoto Qボタンを押して表示されるクイックメニュー画面(写真=左)、Fnボタンには、自分にとって使用頻度の高い機能を割り当てられる(写真=右)

 X-Pro1から進化したのは、視度調整ダイヤルを追加したこと。またX-Pro1にはなかった内蔵ストロボを新搭載した。ガイドナンバーは7相当で、スローシンクロや後幕シンクロに対応。外部ストロボのコマンダーとしても利用できる。

photo コンパクト化しながらも、天面には手動ポップアップ式のストロボを内蔵

 背面には約46万画素の2.8型低温ポリシリコンカラー液晶を搭載する。X-Pro1の液晶(約123万画素/3.0型)に比べるとスペックダウンしているが、見えにくいというほどではない。電子ビューファインダーについては逆にスペックアップし、約236万画素の0.5型有機ELファインダーを新搭載する。薄暗いシーンで表示のフレームレートがやや遅くなるのは気になるが、表示は大きくて精細感は高く、視認性はまずまず良好といえる。

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