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最大4.5段分の手ブレ補正機構を搭載した望遠ズーム――富士フイルム「XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS」交換レンズ百景

» 2013年06月24日 11時01分 公開
[永山昌克,ITmedia]
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 富士フイルム「X-Pro1」や「X-E1」が採用するXマウントレンズの新製品として「XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS」が発売になった。35ミリ換算で84〜305ミリ相当の焦点距離をカバーする望遠ズームである。

photo 「X-E1」に装着した「XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS」

 レンズの開放値はF3.5-4.8に対応する。同じくらいの焦点距離を持つ他社マウントの望遠ズームに比べた場合、開放値がやや明るいことが特長だ。1/3〜1/2段程度のわずかな違いとはいえ、なるべく速いシャッター速度が使いたい薄暗い場所などでは、やはり少しでも開放値が明るいほうがありがたい。しかも、最大で効果4.5段分をうたう強力な手ブレ補正機構を内蔵。慎重に構えれば200ミリ側で1/20秒でもブレなしで撮影できた。

 全長は118ミリで、質量は580グラム。開放値が明るい分、この焦点距離のクラスのレンズとしてはやや大きくて重めだ。今回はボディにX-E1を使用したが、焦点距離が短いほかのXマウントレンズに比べるとホールドバランスは少々悪くなる。ホールド性重視なら、オプションのハンドグリップをボディに装着するといいだろう。

 レンズ鏡胴部には、金属製のピントリングと絞りリングを装備する。ピントリングは滑らかに回転し、絞りリングは1/3EVステップでの確実なクリック感がある。ズーム域に応じて開放値が変化する仕様のため、リング上に絞り値は記されていない。絞り値は液晶表示で確認する。

 ズームリングについては、表面にラバーを巻き付けた幅の広いリングを搭載する。200ミリ側にズームアップすると、レンズの先端が約59ミリ程度せり出す。リングの回転はやや重いが、自重で伸びることはない。

photo マニュアル露出(F5.6 1/250秒) ISO200 WB:晴天 焦点距離:200ミリ
photo 絞り優先AE(F6.4 1/1800秒) ISO200 WB:晴天 焦点距離:95ミリ

切れ味のある描写と優れた耐逆光性能

 AFは、内蔵した2つのリニアモーターによって静粛かつスムーズに作動する。気になったのは、日陰や逆光での人物撮影など被写体のコントラストが低いシーンではピントが合いにくくなること。このあたりは、レンズ性能というよりもボディ側の今後の課題だろう。

 最短の撮影距離はズーム全域で1.1メートル。最大撮影倍率は0.18倍となる。下の写真は、200ミリ側を使って最短撮影距離付近で撮ったもの。ピントを合わせた花びらはくっきりと描写され、そこから前後に向かってふんわりとしたボケが生じている。

photo 絞り優先AE(F4.8 1/1000秒) ISO200 WB:オート 焦点距離:200ミリ

 写りは、開放値からシャープネスが高く、切れ味の鋭い描写を得られる。周辺減光はそれなりに見られるが、RAW現像時に簡単に補正できるレベルだ。歪曲や色収差が目立たないように低減されていることや、独自の多層コーティング処理「HT-EBC」によって逆光でもフレアやゴーストが生じにくく、十分なコントラストを保てる点には好印象を受けた。

 現在の実勢価格は6万円程度。安価とはいえないが、開放値の明るさと写りのよさを考えれば納得できる価格だ。撮影領域を広げるレンズとして、Xマウントユーザーならぜひ入手したい1本といえる。

photo シャッター優先AE(F6.4 1/2000秒) ISO200 WB:晴天 焦点距離:200ミリ
photo 絞り優先AE(F5.6 1/1700秒) ISO400 WB:晴天 焦点距離:200ミリ
photo 絞り優先AE(F4.4 1/1600秒) ISO200 WB:晴天 焦点距離:141ミリ

(モデル:三橋愛永 オスカープロモーション)

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