富士フイルム「X-Pro1」や「X-E1」が採用するXマウントレンズの新製品として「XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS」が発売になった。35ミリ換算で84〜305ミリ相当の焦点距離をカバーする望遠ズームである。
レンズの開放値はF3.5-4.8に対応する。同じくらいの焦点距離を持つ他社マウントの望遠ズームに比べた場合、開放値がやや明るいことが特長だ。1/3〜1/2段程度のわずかな違いとはいえ、なるべく速いシャッター速度が使いたい薄暗い場所などでは、やはり少しでも開放値が明るいほうがありがたい。しかも、最大で効果4.5段分をうたう強力な手ブレ補正機構を内蔵。慎重に構えれば200ミリ側で1/20秒でもブレなしで撮影できた。
全長は118ミリで、質量は580グラム。開放値が明るい分、この焦点距離のクラスのレンズとしてはやや大きくて重めだ。今回はボディにX-E1を使用したが、焦点距離が短いほかのXマウントレンズに比べるとホールドバランスは少々悪くなる。ホールド性重視なら、オプションのハンドグリップをボディに装着するといいだろう。
レンズ鏡胴部には、金属製のピントリングと絞りリングを装備する。ピントリングは滑らかに回転し、絞りリングは1/3EVステップでの確実なクリック感がある。ズーム域に応じて開放値が変化する仕様のため、リング上に絞り値は記されていない。絞り値は液晶表示で確認する。
ズームリングについては、表面にラバーを巻き付けた幅の広いリングを搭載する。200ミリ側にズームアップすると、レンズの先端が約59ミリ程度せり出す。リングの回転はやや重いが、自重で伸びることはない。
AFは、内蔵した2つのリニアモーターによって静粛かつスムーズに作動する。気になったのは、日陰や逆光での人物撮影など被写体のコントラストが低いシーンではピントが合いにくくなること。このあたりは、レンズ性能というよりもボディ側の今後の課題だろう。
最短の撮影距離はズーム全域で1.1メートル。最大撮影倍率は0.18倍となる。下の写真は、200ミリ側を使って最短撮影距離付近で撮ったもの。ピントを合わせた花びらはくっきりと描写され、そこから前後に向かってふんわりとしたボケが生じている。
写りは、開放値からシャープネスが高く、切れ味の鋭い描写を得られる。周辺減光はそれなりに見られるが、RAW現像時に簡単に補正できるレベルだ。歪曲や色収差が目立たないように低減されていることや、独自の多層コーティング処理「HT-EBC」によって逆光でもフレアやゴーストが生じにくく、十分なコントラストを保てる点には好印象を受けた。
現在の実勢価格は6万円程度。安価とはいえないが、開放値の明るさと写りのよさを考えれば納得できる価格だ。撮影領域を広げるレンズとして、Xマウントユーザーならぜひ入手したい1本といえる。
(モデル:三橋愛永 オスカープロモーション)
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