昨年モデルのS110ではタッチパネルが導入されたため、画面タッチでAFポイントを指定したり、シャッターを切ることが可能となった。また、P/A/S/M/C(カスタム設定)の各撮影モードでは、タッチパネルとコントロールリングを組み合わせての操作も可能となっている。
S200ではタッチパネルが非搭載となっているため、操作インタフェースとしてはタッチパネル非搭載の一昨年モデルS100とほぼ同等になっている。ただ、コントロールリングからISO感度や露出補正、焦点距離などのパラメータを操作できるために操作性は高く、また、ボタン類に対する反応も機敏で操作していてストレスを感じることもない。
そのほか基本的な操作インタフェースは近年のIXY/PowerShotに共通したもので、コントロールボタン中央の「FUNC.SET」ボタンを押すとISO感度やホワイトバランス、セルフタイマーといった撮影時に利用頻度の高い設定項目を呼び出し、「MENU」からはAF設定やデジタルズームのON/OFF、日時設定やメモリカードフォーマットなど、頻度の低い、あるいは撮影前に設定する項目を呼び出せる。熟成の進んだ、シンプルで安定感のある操作インタフェースといえるだろう。
S200の搭載する撮像素子は1/1.7型 有効1040万画素 高感度CCDで、組み合わせる画像処理エンジンは「DiGiC 5」。一方で上位モデルのS120は1/1.7型 有効1210万画素高感度CMOSセンサーで、画像処理エンジンは「DiGiC 6」だ。センサーサイズは同一ながら、CCDか高感度CMOSの違いは気になるところであるし、最新の画像処理エンジンの効果も気になる。ただ、今回はS120の撮影可能実機が入手できなかったので、ひとまずはS200のISO感度別作例を見てみよう。
1/1.7型で高感度CMOSではなく1/1.7型 CCD搭載のPowerShot Sというと、S95が思い出せるが、高感度特性はそのS95に近い傾向を示している。つまりはISO800までは十分に常用できるレベルで、1/1.7型センサーを搭載するコンパクトデジカメとしては標準的。ISO感度はISO6400まで上げられるが、さすがにISO6400ではノイズが多い。ちなみにISOオートだとISO感度上限はISO1600となっている。
搭載するWi-Fi機能を利用してスマートフォン転送のほか、CANON iMAGE GATEWAYサーバを経由しない、パソコンへのダイレクトなワイヤレス転送も行える。操作も既存モデルを踏襲しており、再生時に背面コントローラーホイールの上ボタンを押すとWi-Fiが起動し、各種転送を行える。スマートフォン/タブレットへはルーターを介さずに転送が可能で、パソコンやオンラインアルバム、Wi-Fi対応プリンターへはルーター経由での転送となる。
撮影機能としてはフルオートのほかP/A/S/Mの各露出モードを撮影モードダイヤルから利用でき、Pモード時には適正露出を保ったまま任意の絞り値とシャッタースピードを設定するプログラムシフトでの撮影も行える。クリエイティブフィルターには「ポートレート」「美肌」「魚眼風」「ジオラマ風」など15種類を用意する。連写についても、250万画素相当まで画素数が低下するものの、最高4.5コマ/秒まで速度を上げて撮影できる「ハイスピード連写」が利用できる。
上位機種S120に比べるとスペック的な差に目がいってしまうところではあるが、実際に試用した限りでは廉価版や下位モデルといった印象を受けることはなく、「明るいレンズを搭載したスリムコンパクトであるPowerShot Sの新製品」という印象を強く受けた。もちろんS120との違いとしては、レンズの明るさやタッチパネル液晶、連写速度、フルHD記録、「星空」など新たな撮影モードなど多々あるのだが、本体のスリムさもあり、常時携帯するカメラとしては非常によくまとまっており、日常の利用で不満を感じることは少ない。
ちなみにS200の同社直販サイトでの販売価格は3万4980円。S120が同4万9980円なので、約1万5000円の差がある。S120との比較を行えなかったので断言はできないが、S200は価格面も含めて、バランスのよい高級コンパクトのスタンダードモデルと言えそうだ。
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