搭載する撮像素子は位相差AF用センサーを搭載したAPS-Cサイズ(約22.3×14.9ミリ) 有効1800万画素のCMOSセンサーで、組み合わせる画像処理エンジンは「DiGiC 5」。この部分だけを取り出せば仕様は同社一眼レフ「EOS Kiss X7/X7i」に準じる(AF方式の「ハイブリッド CMOS AF II」はKiss X7にも採用されている)。
ボディはWi-Fiを新搭載しながらも約104.9(幅)×65.2(高さ)×31.6(奥行き)ミリ、約238グラム(本体のみ)と小さく、軽い。ボタン類はシャッター、電源、再生、MENUなど最低限度に絞られており、主な操作はタッチパネルから行う。タッチパネルは静電容量式を採用しており、軽く触れるだけで機敏に反応する。フリックでのコマ送りや、ピンチイン/アウトでの画像拡大/縮小も行え、液晶の操作感はスマートフォン的でもある。
前述したように全体としての操作は機敏だが、メニューに用意されている「レンズ光学補正」をオンにすると連写速度が落ちるほか、「魚眼風」や「油彩風」など各種用意されているフィルターも適用/非適用の2枚撮りに設定していると、1枚の撮影ごとに「BUSY」表示が出るなど、ところどころに引っかかりを感じる場所は残っているのは残念である。
撮影モード「クリエイティブオート」選択時に限られるが、「背景ぼかし設定によって、ボケを背面液晶で確認しながらの撮影も可能だ。ボケの出る範囲は装着しているレンズの開放F値によって3〜5段階に変化し、「EF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STM」ならばワイド端でF4/5.6/8/11の4段階、テレ端でF5.6/8/11の3段階となる。撮ってすぐに確認できるのでプレビューの意味は薄いともいえるが、どんなF値で撮ればよいのかという参考として使うという利用法も想定でき、スマートフォンやコンパクトデジカメからのステップアップユーザーには有益と言えそうだ。
先モデルとの比較ではWi-Fiの搭載もトピックだ。スマートフォンアプリ「EOS Remote」を使えばスマホへの画像転送やスマホからの画像閲覧、リモート撮影が行える。加えて、Wi-Fi搭載プリンタでの印刷、FacebookやTwitterへの画像投稿(同社ウェブサービス「CANON iMAGE GATEWAY」経由)が行えるほか、対応するIXY/PowerShot/EOSへの画像転送も行える。パソコン内蔵ストレージへの直接転送こそ対応していないが、非常に多機能である。
ただ、EOS Remoteoでのリモート撮影についてはレリーズ動作のほか、露出補正や絞り値、シャッター速度、ISO感度などの設定をスマートフォン側から行えるものの、それは事前にカメラを設定可能状態にしておく必要があり、さらには撮影モードやセルフタイマーなどの設定は行えないので、フルコントロールするというよりも簡易的なものと理解する方がいい。それを踏まえれば十分利用に耐えるとは言えるが、撮影モードの切り替えだけでもアプリから行えればと感じた。
冒頭に結論めいたことを既に書いているが、画質はもちろん、AFエリアの拡大と高速化、それにブラックアウト時間の大幅短縮など、動作に際しての快適性は先代を上回っており、とても快適に使うことができた。快適に使えれば、ボディの小ささや画質のよさが改めて視野に入る。本製品はEOS Mの2代目だが、これだ初代であったなら、「EOS M」に対してのイメージもだいぶ変わっただろうと思わざるを得ない。
個人的には、先代はEOSのサブとして考えないと手が出しにくい存在だったが、本製品ならば、「軽くて写りが良いミラーレス」として、スマホやコンデジからのステップアップユーザーへ勧めることができる。欲を言えば、「ライバルのミラーレスにはない何か」を備えて欲しいとも思うが、それは次モデルの課題だろう。
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