「増税」
一般消費者にとってはなんとも重苦しい響きだが、3月中に買ってしまえば増税の影響は受けない。せっかくなのでこれを機会として、これまで「欲しいし買えないこともないけれど、気軽に買える値段でもないよなあ……」と思っていたレンズの購入を真剣に検討してみよう。
ここでは「欲しいし買えないこともないけれど、気軽に買える値段でもない」10万円前後のレンズをプロカメラマンがピックアップ、作例とともに紹介する。レンズ購入の参考となれば幸だ。
キヤノン「EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM」は、APS-Cサイズからフルサイズ機まで対応し、1本で円周魚眼から対角魚眼までカバーできるユニークなレンズだ(APS-C/Hサイズでは対角線魚眼まで)。光学的にユニークなだけでなく、球面のレンズが張り出しているあたりに“今までにない何か” が撮れそうな期待を持たせてくれる。
一般的にレンズは歪曲による収差は避けられないものだが、魚眼レンズの場合は歪曲収差こそ面白い。その歪曲収差を積極的に使うには被写体に出来るだけ近づいてみることだ。そこには思ってもいない像がファインダーに写り込んでいる。
またフルサイズ機の場合はズームで遊んで欲しい。焦点距離8ミリで円周魚眼、15ミリでは対角線魚眼となり、ズームリングだけでさまざまな絵作りができる。作品作りに行き詰まったとき、このレンズを手にするといいだろう。今まで見えなかったものが見えると同時に、悩みがいつしか楽しさに変わっているはずだ。
とことん非日常的な世界を作れて遊べるだけでなく、学術研究でも用いられる興味深い1本と言える。
「EF100mm F2.8Lマクロ IS USM」は、角度ブレとシフトブレ、2つの手ブレを補正する機構が搭載された“ブレ”に強いレンズ。マクロ撮影はピント位置が肝と言えるが、同じくらい気を使うのはブレだろう。三脚を使っていても気が緩んでいたせいかカメラブレしていたという経験は誰にでもある。そのことからも、強力な手ブレ補正機構が搭載されているこのレンズは心強い。
世間一般的に“マクロレンズ=草花や昆虫の撮影向き”というイメージがあるが、ぜひポートレートにも使ってもらいたい。マクロレンズはシャープネスとボケ味の両立を追求した光学設計になっており、他のレンズと大きく違うのは、多くの撮影シーンに適したクセのない素直なボケ味を持つことだ。
写真をはじめたばかりで“ボケ味”ってなに?と思った場合、ぜひこのレンズを試してもらいたい。美味しい料理とは口にしないとその美味しさが分からないのと同じように、最上級のボケ味を知っておくのもいいだろう。初めて手にして“あれ? 腕が上がった!?”と勘違いしてしまうほどだ。そして「Lレンズ」という冠がどんなものか試してもらいたいレンズだ。
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