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増税前に買いたい10万円クラスのレンズをプロカメラマンがピックアップ!(その2)

» 2014年03月17日 17時00分 公開
[門谷優ITmedia]
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 欲しいし買えないこともないけれど、気軽に買える値段でもない……。そんな10万円前後のレンズをプロカメラマンがピックアップする本企画。第2弾はニコンの広角ズームとお値打ち中望遠単焦点、DXユーザーにお勧めのマクロレンズと3本をご紹介します。

FXカメラで使いたい 超ワイドは使い勝手良好 ニコン「AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR」

photo ニコン「AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR」 実勢価格は13万8千円前後

 手に取ったときの第一印象は“意外とずっしり“だった。

 ニコンの超広角ズームレンズとしては中間グレードに当たる全域F4というスペックだが、大きさ、重さ、そして質感ともに、しっかり密度を感じる造りになっている。しかし、一度カメラに装着してしまえば、手にしっくりとくるほどよいホールド感。撮影時にレンズを上に振ろうが下に振ろうが、撮り手にあまり重さを気にさせないバランスのよさが素晴らしい。

 16ミリからのダイナミックでワイドな画は、とてもシャープで気持ちいい。また、F値が変動しない通しレンズであるためズーミングした際に露出の変化がないのもポイント。写真撮影だけでなく、動画ユーザーにも最適だ。

 手ブレ補正の効き目も良好で、さまざまな環境でフットワークの軽い撮影が可能だ。

 撮影ポジションが限られる場所や、一瞬のスナップなど、いろいろなシチュエーションで活躍すること間違いナシの1本。広角フリークもそうでない人にも注目してもらいたい製品。

photo 林立したビルがことさら密集したように仕上げた1枚。ワイドレンズならではの歪みを生かせば、このような強調した写真が撮れる 露出優先AE(F4 1/2500秒) ISO200 WB:マニュアル 焦点距離:19mm ボディ:D700
photo 縦位置撮影も面白い。アングルを少し変えるだけで無機質な構造物が芸術作品のようになる。抜けた雲一つない青空の色合いもよく、コントラストもしっかりしている 露出優先AE(F4 1/2500秒) ISO200 WB:マニュアル 焦点距離:19mm ボディ:D700

上位モデルに遜色ないシャープさが自慢の単焦点 ニコン「AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G」

photo ニコン「AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G」 実勢価格は5万5000円前後

 ネイチャー、ポートレート、スナップ、etc……。中望遠レンズの中でも一番応用範囲が広いとされる85ミリ。ただそれだけに、求められるレンズ性能は高く、購入時の選択が肝心だ。ニコンでは同レンジのレンズにこのほか、F1.4の「AF-S NIKKOR 85mm f/1.4G」をラインアップしているが、こちらは20万円近い製品。今回のオススメの趣旨から外れてしまうので、このF1.8のレンズを選んでみた。

 まずレンズの質感は、重過ぎず軽過ぎず、適度な鏡胴の太さと相まってとても撮影しやすい。オートフォーカスもそれなりに機敏で、子どもやペットなど、動きがある被写体にも対応できそうだ。また、レンズ性能も上々で、上位モデルのF1.4と比べてもまったく遜色ないと言っていいくらいシャープで素晴らしい画を出す。そして、ナチュラルで嫌味がないボケ味も、このレンズのオールマイティーさに華を添えている。

 フルサイズカメラをお使いで初めての単焦点レンズを検討しているなら、良い選択肢のひとつになるだろう。

photo 自然なボケと合焦した部分のシャープさが極上の画を見せてくれる。FXカメラで使ってもらいたいが、DX機でももちろん使える。その場合は128ミリの望遠となり画角が変わる。 露出優先AE(F2 1/4000秒) ISO200 WB:マニュアル 焦点距離:85mm ボディ:D700
photo 逆光状態でも画質は良好。穂や葉の細部まで正確に再現されたディテールと夕景の美しいボケが印象的な1枚に。単焦点レンズのよさを実感させてくれる 露出優先AE(F3.5 1/8000秒) ISO200 WB:マニュアル 焦点距離:85mm ボディ:D700

DXカメラで本格マクロ入門にオススメの1本 ニコン「AF-S DX Micro NIKKOR 85mm f/3.5G ED VR」

photo ニコン「AF-S DX Micro NIKKOR 85mm f/3.5G ED VR」 実勢価格は4万7000円前後

 今回紹介する中で唯一のAPS-Cサイズ専用のDXレンズ。フルサイズ換算で、約128ミリといったところで、マクロレンズ(ニコンの呼び名はマイクロレンズ)として一番使いでのあるレンジだろう。

 全域でF3.5とあまり明るいとは言えないが、その分軽く、携行性に優れている。普段使いのマクロレンズとしては、この点は非常に重要だ。また、3段分の効果がある手ブレ補正機構も付いており、撮影可能領域の広さも魅力だ。ただし、被写体に近接して拡大するマクロ域では手ブレ補正の効果があるからといって過信してはいけない。手持ちでの近接撮影には注意が必要だ。

 レンズ性能は良好で、きわめてシャープ、それでいて透明感が感じられる写りだ。ボケ味もナチュラルな感じで嫌味なく、とても美しい。本格マクロの入門レンズとしても、気軽な旅のおともとしてもオススメできる頼もしいレンズだ。

photo 花開く時を待つつぼみを逆光状態で撮影。しっとりとしたコントラストにしっかりと描かれた枝振りがこれからを予感させてくれる1枚に 露出優先AE(F8 1/500秒) ISO1250 WB:マニュアル 焦点距離:85mm ボディ:D7100
photo 花びらの輪郭や質感、シベの1本1本まで、極めて正確に描写してくれる。このマクロならではのシャープさが堪能できるレンズだ 露出優先AE(F6.3 1/200秒) ISO100 WB:マニュアル 焦点距離:85mm ボディ:D7100

撮影者プロフィール

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門谷 優(かどたに まさる)

1982年生まれの関西出身。ヒマラヤからジャングルまで、“人の在る風景”をテーマに、もっぱら辺境地を飛び回るドキュメンタリーフォトグラファー/映像カメラマン。

オフィシャルサイト http://nepalpix.namaste.jp


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