2015年年4月にキヤノンが発売したエントリー向けの一眼レフは2台あった。1つはロングセラーを誇る「EOS Kiss」シリーズの最新モデル「EOS Kiss X8i」。もう1つは「プレミアムエントリー」をかかげる新ラインの製品「EOS 8000D」だ。
この2台には共通点がたくさんある。どちらも撮像素子は、新開発となるAPS-Cサイズの有効2420万画素CMOSセンサーで、画像処理エンジンには「DIGIC 6」を搭載。ファインダーは視野率95%のペンタダハミラー式で、AFはオールクロスの19点測距に対応。液晶モニターは、バリアングル式のワイド3型TFT。選択できる感度やシャッター速度、連写スピード、動画サイズ、測光性能などにも違いはない。
ボディのデザインもかなり似ている。どちらもフルブラックの樹脂外装で、EOSではおなじみの曲面を多用した丸っこいスタイルを採用。製品名のロゴ部分を隠せば、両機をひと目で見分けるのは難しい。
では何が違うのか。外観をじっくり比較すると、まず気付くのはモードダイヤルの位置だ。EOS Kiss X8iは、これまでのKissシリーズと同じくモードダイヤルが天面の右側にあるのに対して、EOS 8000DではEOSシリーズの上位モデルと同じ左側にある。
EOS 8000Dの天面右側には、各種の撮影情報を表示するためのモノクロ液晶パネルを装備する。表示の内容は、絞り値とシャッター速度、感度、露出補正値、バッテリー残量など。同じ情報は背面の液晶モニターにも表示できるが、液晶を見ずに、これらの情報をボディの上からひと目で確認できることがEOS 8000Dの特徴の1つになっている。中級機に近い仕様といえる。
背面に目を向けると、サブ電子ダイヤルの有無が大きな違いになっている。EOS Kiss X8iは、歴代のEOS Kissシリーズと同じくサブ電子ダイヤルは非搭載だが、EOS 8000Dには小さなサブ電子ダイヤルがある。これによって、ボタンを併用せずに露出補正をダイレクトに設定できるのが便利だ。またマニュアル露出モードの際は、絞り値とシャッター速度をそれぞれ素早く調整できる。
さらに、液晶モニターの自動消灯を行うためのディスプレイオフセンサーや、ダイヤルが不用意に動くのを防ぐためのマルチ電子ロックスイッチを備えることもEOS 8000Dの優位性になっている。
細かい機能面での違いとしては、電子水準器を搭載していることや、ライブビューの際にサーボ連写が利用できること、動画デジタルズームやHDR動画に対応していることなどが挙げられる。
電子水準器は、カメラの左右方向の傾きを液晶モニターまたはファインダー上に表示できる機能だ。前後方向の傾き表示に対応していない点は残念だが、風景や建造物を撮る際に役立つだろう。
ライブビューでのサーボ連写は、ライブビュー撮影時にサーボAFによってピントを合わせ続けつつ、最高で約3コマ/秒の連続撮影を行う機能だ。連写中も液晶モニターの表示が消えないので、被写体の動きに合わせて構図を修正しながら撮ることができる。
電源はリチウムイオン充電池「LP-E17」。撮影可能枚数の目安は、ファインダー撮影で400枚、ライブビュー撮影で150枚
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