スマートフォンでありながら、今や世界で一番使われている"デジタルカメラ"と言えるAppleのiPhone。そのiPhoneが毎秋恒例のモデルチェンジを果たし、「iPhone 6s」と「iPhone 6s Plus」として登場した。
有効約1200万画素と、これまでの800万画素から久しぶりにカメラが高画素化されたのが大きなトピックだが、iPhone 6sとiPhone 6s Plusという“2モデル”体制は変わらず、両モデルにおけるカメラ機能の差は、iPhone 6s Plusに光学式手ブレ補正機能が搭載されている点のみと言っていい。"写真"を積極的に楽しみたいのならiPhone 6s Plusを手に入れるのが賢明だろう。
今回発売前から両モデルを使用する機会を得たが、発売初日に自分のiPhone 6s Plusを手に入れることができたので、今までのように日常的に持ち歩いてブラブラと撮影をした感想をお届けしたい。基本的な解説は別記事を参考にしてほしい。
これまでは「iPhone 6 Plus」を使っていたので、iPhone 6s Plusを手にした時に「重くなったな」と瞬間的に感じた。重さにして約20グラムだがジワリとくる印象だ。ただボディの剛性が高まっているとのことなので、これは仕方がないという感じだろうか。
新機能の「3D Touch」は、現時点では写真撮影においてあまり使い道はない。カメラ起動時にアイコンを長押しすると「セルフィーを撮る」「ビデオ撮影」「スローモーション撮影」「写真を撮る」とコンテキストメニューが表示されるのと、カメラ撮影画面で左下に表示される撮影済み写真を"Peek & Pop"するくらいであろうか。今後この機能に対応したカメラおよび写真撮影アプリケーションの登場に期待したい。
またもう1つの新機能“Live Photos”だがこれはすぐオフにした。シャッターを切る1.5秒前から切った1.5秒後までiPhoneをホールドしていなければならないのと、現時点でLive Photosとしてシェアすることができないからだ。今後FacebookなどSNSで動画としてではなく、Live Photosとして再生できる環境が整えば使い道が出てくると感じている。
写りはかなりいい。約1200万画素に高画素化された効果がはっきりと見てとれる。細かいディテール再現はもちろん、自然な色再現もグッとよくなった印象を受けた。青い空に浮かぶ雲の立体感や、建造物のメタルやコンクリートの質感の表現など、前モデルから一皮むけた感じだ。微妙なディテール描写は高画素化された恩恵だろう。明暗差の激しい場合はHDRをオンにして撮るといい案配の写真に仕上げてくれるのも今まで通りである。
iPhoneで写真を撮り、アプリで加工して作品をシェアする"iPhoneography"というムーブメントを生み出したiPhoneだが、操作は恐ろしくシンプルだ。この潔さが写真を撮る楽しみを世界中の人に広げたに違いない。誰が使っても失敗なく、美しい写真が撮れる世界ナンバーワンの"デジタルカメラ"だと言っていいだろう。
高層ビルをiPhone 6s Plusであおって撮影。露出、コントラスト、色合いも美しく撮れた。各階の描写はとても小さなセンサーとは思えないほど。
レストランの食事もシャッターを押すだけでご覧のように撮れる。被写体にグッと寄ることで背景をぼかすことも可能だ。
駐車場に停まっているオールド・シトロエン。日没後の空が車体に映っているが、そのトーンの再現性がとてもいい感じだ。スクリーン上をタップして、露出コントロールをマイナス補正した。
飲み屋街の店先。壁の凸凹とした立体感、剥げたペイントなど、コンパクトデジタルカメラにも勝るとも劣らない写りだと思う。
秋の雲を撮影。雲の白い部分からビルのシャドウ部までスムーズな描写だ。HDRを自動もしくはオンにして撮ると、こういう明暗差のある被写体はいい結果になる。
iPhoneはいつでもどこにでも持って行けるのが強みだ。何かを感じたらサッと取り出してシャッターを切ればいい。
お寺の表札をクローズアップで。切り込まれた文字と塗料、そして木の質感がとても見事。ややマイナス補正をしてシャドウをしめた。
どんないいカメラを持っていても、撮りたい瞬間に持ち歩いていなければ意味がない。iPhoneならば常時携行できるので、シャッターチャンスを逃すことがなくなるだろう。
イベント会場をビルの上から撮影。パイプ椅子やタイル、集まった人々の様子までiPhone 6s Plusは克明に捉えてくれた。
iPhoneで上手く写真を撮るコツは、手ブレしないように優しく両手でホールドすることと、スクリーン長押しでのAE/AFロックと、露出コントロール、HDR機能をうまく組み合わせて使うことだ。
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