富士フイルムから、とうとう薄型単焦点ハイエンドコンパクトが出た。同社のラインアップには、元祖APS-Cサイズセンサー搭載ハイエンドコンパクトともいえる「X100T」があるのだけれども、あれはちとゴツくてデカい。
X100系は光学ファインダーやずしっとくる質感、ゆったりした操作系が良かったわけだが、いささかマニアックであり、携帯性では分が悪かったのだ。今度はその逆。携帯性重視の薄型ハイエンド。ぐっと小さくなった。Xシリーズらしいデザインとインタフェースながら、X100系より一回りも二回りも小さく薄くなった。
それが「FUJIFILM X70」である。
操作系は十分アナログ的であるが、チルト式モニター+タッチパネルの搭載はとてもデジタル的であり、アナログカメラくささにこだわりすぎず、いい感じで両者を融合させている。
要するに、よりカッコよくて使いやすかったのである。
X70のレンズは28mm相当でF2.8。APS-CサイズのセンサーとくればリコーのGRを思い出す、というか直接の競合機は同社のX100Tよりは「GR II」だろう。
両方を触った感想からすると、より小さくて軽いのはGRだが(重さで100gほど違う)、よりカメラらしいデザインと操作系を持つのはX70の方だ。
まずはレンズ部。
ボディからの飛び出しは実測で約14mm。その薄いレンズ部に2つのリングが用意されている。ボディ側が絞りリング、先端側がコントロールリング(MF時はフォーカスリング)である。
それぞれリングの厚さはわずかだが、絞りリングは2つ付いているツメを使って回すことで両者をうまく区別している。慣れないうちは絞り値を変えるつもりが間違ってコントロールリングを回しちゃったりしたもんだが、まあそれはしょうがない。
さらに先端にあるフロントリングは、ワイドコンバージョンレンズやレンズフード装着用に外せるようになってて、コントロールリングを回してたらついでにフロントリングも回しちゃって外しちゃいそうになったりもするが、まあそれもしょうがないか。
絞りリングのツメはレンズキャップ装着時に邪魔にならない形状になってて細かい事だがよく考えられてる。
コントロールリングの役割を変えるには側面に目立たなく付いている黒くて小さいボタンを左手で押す。
ここにはデジタルテレコン(35mm相当と50mm相当に切り替えて撮れる)、ISO感度、ホワイトバランス、フィルムシミュレーション、DR(ダイナミックレンジ)などを割り当てられる。
カメラ任せにしておくとリングがデジタルテレコンとして働くことが多いので、間違って回しちゃわないよう注意したい
上面にはシャッタースピードダイヤルと露出補正ダイヤル。シャッタースピードと絞りをAに合わせるとプログラムAEになるわけだが、それとは別に、シャッタースピードダイヤルにAUTOポジション用のレバーが付いている。
これをAUTOにすると、他のダイヤルポジションを動かすことなくシーン自動認識オートに切り替わる。最近のXシリーズに付いている機能だが、なかなか便利。オート時でも露出補正は効く。
もう1つDRIVEモードボタンも上面に。連写や各種ブラケットのほかに、デジタルエフェクト系の撮影機能やパノラマなんかもここに入っている。まあDRIVEモード兼撮影モード切り替えと思っていいだろう。
で、だいたいこれで必要な操作は完了するわけで、操作性はなかなかよい。
背面には左右に倒せるコマンドレバーがあり、シャッタースピードを微調整したり(ダイヤルでは1段ずつしか変えられないから)、Qメニュー時にパラメータを変更したりするのに使う。
で、残るはAF。AF測距点をさくっと動かして狙ったところにフォーカスを合わせたい。
そこでタッチパネルの出番だ。
背面のモニターは180度回転自分撮り対応のチルト式。
さらにタッチパネルに対応で、触ったところにさっとフォーカスが合うのだ。
このタッチパネル、可能なのはタッチAF(およびタッチシャッター)と再生時の操作くらいと機能をしぼってて潔い。不満があるとすれば、AUTO時はタッチシャッターになってしまうこと(タッチAFだけしたい)と、タッチAF時のAF枠をもっと小さく自由にできないかということくらい。
そんな感じで、小さなボディながら操作性をまったく犠牲にしておらず、撮ってて楽しいのである。X70を触って最初に感じたのはそこだ。
ついでにいえば、USB充電に対応したのもいい。Wi-Fiにはもちろん対応している。
モバイルバッテリーがあればバッテリー切れにも対応できる。
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