出版業界ニュースフラッシュ 2012年3月第5週

出版業界で起こったニュースにならない出来事をまとめてお届けする週刊連載。3月最終週は、出版物原盤権(仮)の法制化議論や東京堂書店のリニューアルオープンに注目です。

» 2012年04月02日 09時30分 公開
[新文化通信社]
新文化通信社

東京堂書店がリニューアルオープン

 3月30日、東京堂書店神田神保町本店がリニューアルオープンした。1〜3階までの全フロアにカフェを併設。1階には東京堂の名物コナー「著者サイン本棚」を配置、また、全店内にはおよそ20万点の書籍を揃えた。当日は出版関係者のほか、東京堂に馴染みの深い作家たちも多数訪れた。

【日販分類別売上げ調査】2月期、前年同月比4.1%減に

 前年同月比は4.1%減で22カ月連続のマイナスとなった。今年は閏年のため、前年より1日多い29日で集計しているにも関わらずマイナス成長となってしまった。

 規模・立地別では、「ビジネス街」(同1.8%増)以外すべて前年を割り込んだ。特に、規模別では「101〜200坪」(同4.6%減)、立地別では「商店街」(同5.4%減)の落ち込みが大きかった。

 「雑誌」の売り上げは、同5.5%減。「一般誌」のうち「月刊誌」は、際立って好調な銘柄がなく、前年売行き良好だった「sweet」(宝島社)や「non・no」(集英社)などの反動を受けて同5.4%減。「コミック」も『ONE PIECE65』(同)が良好だったものの同5.9%減となった。

 「書籍」の売り上げは、同2.5%減で、前月(同4.2%減)より増加率は改善。しかし、「文芸書」(同11.8%減)は、前年の『謎解きはディナーのあとで』(小学館)の売上げをカバーしきれず、大きく悪化した。一方、「新書」(同1.8%増)、「ビジネス書」(同0.3%増)はプラスに転じた。

中川勉強会、「出版物原盤権(仮)」の法制化を議論

 民主党の中川正春衆議院議員が座長を務める第2回「印刷文化・電子文化の基盤整備勉強会」(中川勉強会)が3月28日、東京・千代田区の衆議院第1議員会館で行われた。同勉強会には、与野党の国会議員のほか、出版関係者や作家、弁護士などが出席。出版物の電子化などでの法的保護のためには、出版者に対して書籍の制作過程で生成される原盤(版下)の権利として「出版物原盤権(仮)」を認めるべきとの議論がなされた。

小学館とイーブックJ、電子文芸書販売スタート

 スマートフォン向けの電子文芸書の第1弾として、猪瀬直樹「ミカドの肖像」や山根一眞「メタルカラーの時代」、井沢元彦「逆説の日本史」など7タイトル・10点をリリース。これにより電子文芸書は3月9日先行発売の小松左京『日本沈没』など6タイトル・8点と合わせ、13タイトル・18点となった。イーブックジャパン版の電子書籍は画像形式で、「1頁が23字×10行」の新組版を開発。

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