Oracle Developer Days開幕、新世代のDBテクノロジストを目指せ

Oracle Developer Daysが開幕した。オープニングセッションでは、日本オラクルの新井氏が「オフショア技術者との協業が否応なしに進む中、日本の技術者は新世代のDB“テクノロジスト”として活躍しよう」と話した。

» 2004年08月24日 16時03分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 8月24日、朝方は秋の気配さえ漂う東京で「Oracle Developer Days」が開幕した。日本オラクルとして3年ぶりとなった技術者向け有償カンファレンスは、この4月に出荷が始まったOracle 10gの最新情報を紹介するのが狙い。ハンズオンや「Oracle University」に追加されたばかりのOracle 10g対応研修コースも組み込まれ、同製品の最新技術に触れ、学べる内容となっている。

「このカンファレンスがスキルアップのきっかけになれば」と話す新井氏

 オープニングセッションに登場した日本オラクルのプロダクトSC部プロフェッショナルオフィサー、新井智本部長は、約700人の技術者らを前に、「オフショア技術者との協業が否応なしに進む中、日本の技術者はその価値を高めるべく、新世代のデータベース“テクノロジスト”として活躍しよう」と話した。

 「テクノロジスト」とは、専門技術や技能を有する技術者のこと。ピーター・ドラッカーは、その著書「ネクスト・ソサエティ」で、テクノロジストが情報革命の主役として重要な役割を担うとしている。新井氏は、その言葉を借り、ここでは「システム構築に深い知識と経験を持ち、システムごとに最適なアーキテクチャと技術を提供できる新世代の技術者」という意味で紹介した。頭でっかちではなく、経験に裏打ちされた自信があり、いわゆる「おとなの技術者」に対する需要が、今後、日本のIT業界ではさらに高まると彼はみる。

「日本の技術者は高いスキルで活躍を」

 その日本のIT業界にもようやく明るさが戻ってきている。アイティーアールが528社から回答を得た調査によると、2004年にIT投資を前年並みか増やすと答えた企業は実に86%に達した。ただ、V字回復というよりは下げ止まりといった感が強く、依然としてコスト削減に厳しい目が注がれることに変わりはない。

 新井氏は、Oracle 10gのグリッド技術こそ、「コスト削減の切り札」とし、Oracle自身がデータセンターを1カ所に集約し、多額の保守費用を節約していることを紹介した。

 また、Oracleは早くからオフショア開発のメリットに着目し、開発センターをインドや中国に開設、その恩恵を受けている。閉じた市場でビジネスを展開してきた多くのソフトウェア開発者らも、ここへきて否応なしに、オフショアの波に揉まれている。コストは1/5〜1/20、英語や日本語も話せるとなれば、コーディングやテストのようなルーチンワークは海外に向かう。

 「日本の技術者はより高い価値を付け、オフショア技術者との理想的な分業体制をつくろう」と新井氏。日本の技術者には、日本の顧客のニーズをきちんと理解してモデル化する技術やプロジェクト全体を管理するスキル、運用スキルの習得が不可欠になる。

 幸い、経済産業省が打ち出した業界共通のITスキル標準、IT Skill Standard(ITSS)が普及し始めており、段階的なスキルアップの指針となりつつある。新井氏は、2〜3年後のあるべき姿を目標として掲げ、Javaやモデリング、あるいはデータベースやアプリケーションサーバといった、核となる領域のスキルを段階的に習得していくことを勧める。

 「日本市場は開発者らにとってはまだまだ機会が多い」と新井氏。デジタル家電や自動車など世界的な企業が本社を置き、技術者層の幅も広い。品質に厳しい大きな市場も抱えている。さらに新卒採用を基本とし、仕事の中で技術者を育成していく土壌がある。「OracleとJavaをコアテクノロジーとして習得し、活躍してほしい」と新井氏は参加した技術者らを励ました。

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