次期版Diamondbackを歓迎するDelphiデベロッパーBorCon 2004(2/2 ページ)

» 2004年09月15日 07時32分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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StarTeamのクライアント機能も統合

 リファクタリングのように日常の開発作業効率を改善してくる幾つかの機能追加にも見るべき点はあるが、StarTeamのクライアント機能が組み込まれたのは、エンタープライズ分野のデベロッパーにとってさらに意義がある。

 StarTeamは、チームの生産性を高めてくれる変更管理ソリューション。このクライアント機能がDelphiのIDEに初めて統合されたことで、デベロッパーは履歴を見たり、アプリケーションの変更を効率的かつ的確に管理できるようになる。

 またStarTeamは、要件管理のためのCaliberRMとともに、今回のBorConでデール・フラーCEOがぶち上げたSoftware Delivery Optimization(SDO)ビジョン実現の基盤となる製品だ。StarTeamとの統合は、Delphiが同構想の重要な構成要素となることも意味している。

 「SDOはソフトウェア開発プロジェクトにかかわるすべての人たちと一連の効率的なビジネスプロセスを構築するもの。その一部のプロセスを担うのがデベロッパーであり、われわれのビジョンは、BorlandのIDEだけでなく、他社のIDEもこのプロセスに加わることができるようにすることだ。もちろん、Delphiデベロッパーもソフトウェアデリバリーのプロセスにおいて、ほかの役割を担う人たちとスムーズに連携が図れるようになる」とスウインデル氏は話す。

大きな地図

 ビジュアル開発やIDEではパイオニアを自負するBorlandは、要件管理や変更管理のソリューションを統合することによって、アプリケーションのライフサイクル全般を支援するBorland ALM(Application Lifecycle Management)を完成させているが、さらにSDOを掲げることによって、その殻を破ろうとしている。

 BorlandでデベロッパーツールのGMを務めるジョージ・パオリーニ副社長は、「ソフトウェア開発には、チームスポーツのように緊密なチームワークが不可欠」と話す。ソフトウェア開発が企業の競争優位を左右するとなれば、なおさらだ。CEO、CIO、CFOからプロジェクトマネジャー、アーキテクト、デベロッパー、テスター、そして運用管理者に至るまで、1つの意思決定で動くチームでなければならない。

かつてSun MicrosystemsでJavaOneカンファレンスの開催に携わったパオリーニ氏

 パオリーニ氏は、「それを効率的に実現してくれるのは、ただ一つ、“ストラクチャード(構造化された)コミュニケーション”しかない」と話す。

 「今日の開発現場は、電子メール、インスタントメッセージング、電話、あるいは会議でコミュニケーションを図っているが、どの手段も構造化されたものではなく、検索したり、相互を関連付けて見ることができない」とパオリーニ氏。構造化されたフォーマットを与えてやれば、ソフトウェアデリバリーのプロセスもほかのビジネスプロセスと同様、監査、計測、管理、分析、変更が可能になるはずだという。

 今回のBorConで企業顧客らと話したスウインデル氏も、「彼らは、DelphiとStarTeamの統合によって開発プロセスが“可視化”されることが最も助かると話してくれた。デベロッパーらがプロジェクトの概要を理解でき、今どこにいて、何をすべきで、次はどこに行くのかが分かる。また、時系列に見ることができ、進捗も把握できる」と話す。

 可視化(ビジビリティ)によって、大きな地図を手に入れたデベロッパーらは、ソフトウェアからビジネス上の価値を最大限に引き出すSDOでも重要な役割を担うことになりそうだ。

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