Java言語はクライアントアプリ開発のメジャーになれるか?IBM Rational Software Development Conferenceレポート

Eclipse 3.0の「Rich Client Platform」(RCP)。開発プラットフォームの枠を超え、あらゆる環境で使えるスタンドアローンアプリケーション開発が可能なものだ。「IBM Rational Software Development Conference」で開発手法が解かれた。

» 2004年10月08日 23時21分 公開
[木田佳克,ITmedia]

 Eclipseは、Javaコードで作られたソフトウェア……。

 いまでは周知となったことだが、数年前は誰もが驚くと共に信じられなかっただろう。その理由は、まるでWindowsネイティブアプリケーションのような、豊富なウィジェット利用にある。Java上での開発事情を知るJavaアプリケーション開発者ほど、驚いたものだ。

 7〜8日まで東京・台場で開催された「IBM Rational Software Development Conference」では、Eclipse 3.0のコンセプト「RCP」(Rich Client Platform)が具体化された。「Eclipse 3.0ではじめるリッチクライアント開発」と題した講演では、日本アイ・ビー・エム、ソフトウェア・テクニカル・プランニングの夷藤勇人氏が登壇し、RCPで実現するスタンドアローンアプリケーション開発手順がデモされた。

Eclipse 3.0のコンセプトは開発プラットフォームではない

 Eclipseは、バージョン2.1まで「開発環境のためのプラットフォーム」と言われていた。しかし、6月に登場した3.0からは「あらゆる環境のためのプラットフォーム」というコンセプトに変わっている。夷藤氏は、Java言語でもWindows上でリッチなアプリケーションが実現できることを強調する。

 そして、Eclipse RCPで実現するアプリケーションの優位さは、Java実行のための「JRE」(Java Runtime Environment)さえOS上で動けばよく、Windows、Linux、Mac OS Xなど、プラットフォームを問わないことだ。

 夷藤氏は、講演冒頭でEclipseで扱うプラグインについても触れた。「プラグインには、既存のプラグイン拡張を実現する"Extension"と、拡張を受け入れるための"Extension Point"がある」(夷藤氏)。

 これは、膨大なプラグイン集合体でIDEとして成り立つEclipseは、プラグインの使い勝手をプラグインで改善、改良できることを意味する。そして、数珠つなぎのプラグイン構造は、最初に動作するプラグイン「org.eclipse.core.runtime」の存在、最初にプラグインをロードするためのEclipseの核が、わずか20Kバイトの「start.jar」であることにも触れた。

 夷藤氏は、これまでのJava GUI(ウィジェット)実現環境にも言及し、「AWT」「Swing」、そしてEclipseの「SWT」があるとし、SWT(Standard Widget Toolkit)がOSリソースを程よく利用する点に、Swingのようなフルエミュレーションとは異なる優位さを語る。

 そして、Eclipse上で開発するスタンドアローンアプリのポイントとしては、Windows APIにしばられず、Javaアプリケーション開発者が、Windows独自の「hWnd」などのウィンドウクラス指定を意識する必要がない点だという。

約8Mバイト程度からのスタンドアローンアプリが実現

 講演内で夷藤氏は、GoogleのWebサービスを使い、RCPアプリケーションを開発する過程をデモした。

 スタンドアローンとして動作するためには、「org.eclipse.core.runtime.application」プラグインが要であると言い、Eclipseがバックグランドで起動していなくても独立したアプリケーションとして成り立つことを注意点として挙げる。

 なお、デモで作成されたGoogleの検索結果をタイトルとURLをリスト化、そして結果ページをブラウズするというサンプルアプリケーションは、本体が数十Kバイトのコード、そしてさまざまな必要プラグインがパックされた最終的な容量が約8Mバイトであった。

 講演内で披露されたサンプルアプリケーションは、IBM developerWorksサイトに掲載されており、下記の関連リンクからも参照可能だ。

 この試み、Eclipse RCPのアプリケーションはすでに、同社の「Lotus Workplace」として実現されている。

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