最高のパートナーシップで極限への挑戦を続けるSAPと日本HP(2/2 ページ)

» 2004年11月01日 00時00分 公開
[西尾泰三,ITmedia]
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SAP R/3からSAP NetWeaverへ。問われるパートナーの対応力

 これまで「SAP R/3」を中心に企業のバックエンドを統合する戦略を進めていたSAPは、2004年になって、「SAP NetWeaver」をシステム統合の中心とする方向へと戦略を大きく転換した。2004年10月に発表した「SAP Exchange Infrastructure」(SAP XI)の最新版では、BtoBプロトコルの「RosettaNet」や、化学業界のBtoBプロトコル「CEDI/CIDX」などを実装、いわゆる「Non-SAPアプリケーション」の統合も可能とし、プロセスの統合という側面でNetWeaverを構成する要素となっている。

 従来のシステムは、業務とプログラムがデータベース上で複雑に結合しているため、新たな業務要件に対応するにはコードを書き直す必要があった。これに対しSAPが提唱するESA(Enterprise Services Architecture)では、既存システムが構成する大きな機能の塊を小さなピースに分解し、それぞれに業務要件を載せる形で外部と連携できるようにしたサービスをアプリケーションで集約し、新たな業務に対応したシステムを構築する。

 「今稼動しているものをいかにスムーズに取り入れ、統合させるかがNetWeaverの肝。システムが分断しているからといって、すべてを新しくする必要はない」(田中氏)

 現在、HPのSAPコンピテンシーセンターはドイツ、アメリカ、シンガポール、そして日本の4カ所に存在しているが、それ以外に、NetWeaverのコンピテンシーセンターがヨーロッパに存在する。既に「SAP NetWeaver Rapid Installer」の共同開発などを手がけるなどしており、NetWeaverの立ち上げ段階から、日本HPがパートナーとして重要な位置にいるといえる。

江原氏 「10年近くの歴史の中でも非常に緊密な連携」と話す日本HPのSAPコンピテンスセンターでテクニカルコンサルタントを務める江原孝大氏

 結局のところ、SAPビジネスで日本HPのコアコンピタンスは、これまで培ってきたインフラの構築ノウハウにあるといえる。その部分をダーウィン・リファレンス・アーキテクチャのフレームワーク、つまり「アダプティブ・エンタープライズ」に基づいて再構築し、SAPの「NetWeaver」を中核としたソリューションとよく適応するものを提供することが、今後の日本HPにとってのチャレンジとなる。

 仮想化技術を中核とした、いわゆるユーティリティコンピューティングのテクノロジーと、煩雑化する業務やシステムを「ビジネス」という観点で整備し直しなおそうとするNetWeaver、この2つを組み合わせることで、企業のシステムが大きく変化するのは想像に難くない。NetWeaverのようにテクノロジーにもサービスにも深く関わってくるものが今後SAPの戦略の柱となったことで、その両面で優れた実績を持つ日本HPに対するSAPの期待は大きい。

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