世界の商品コードが標準化へ――「2005サンライズ」の影響ITが変革する小売の姿(2/2 ページ)

» 2004年11月08日 12時08分 公開
[舟本秀男,舟本流通研究室]
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 特に、国際間の取引では標準手順によるEDI採用が必須となってくる。この場合、EDIで用いられる商品コードはGTINになっていくことを充分配慮すべきである。自社の商品コード・マスターファイルがGTIN対応になっていない場合処理ができないか、もしくは都度コード変換をしなければならない。さらに、今後重要になってくるものにGDSNグローバル・データ・シンクロナイゼーション・ネットワークがある。

 これは、グローバル規模で基本商品情報を一元的に登録し、単一で確実にメンテナンスされている商品情報を使って、効率的かつ迅速な取引を行なおうとする試みである。その中核となるのがGS1・データ・レジストリーで、最終的には全世界の基本商品情報がここに登録される。

 米国ではUCCnetとしてすでに開始され現在3,700社が参加しており、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパにも同様なネットワークが構築されている。これらがGDSNとして一本化されることとなり、そのパイロットが2004年8月に開始されている。

 2005年始めには巨大な商品データベースとネットワークが登場することになり、我が国にも直接的影響を及ぼすのは必須である。

このGDSN、GSI・データ・レジストリーの基本情報として用いられるのがGTINである。

EAN/UCCの統合によるGS1の発足

 北米に20万の参加企業を有するUCCと、北米以外の地域に80万社のメンバー企業を有するEANインターナショナルが2005年1月に正式にGS1として統合し、ここにグローバルに一元化された流通業界の標準化機構が誕生する。

 流通業界のグローバル化に伴い、商品コード、取引先事業所コード、データ・コミュニケーション手順を始めとした各種標準がグローバルに統一される。日本独自、もしくは業界独自、ましてはや企業独自のコードや手順、および取引手法は国際取引ではでは通用しなくなる。そして、企業活動が日本の中のみでは縮小していくのみであろう。GTINを含めた流通業界の国際標準準拠への取組を早急に開始すべきと考える。

 新たに発足するグローバル流通業界の標準化機構GS1は、その主要活動をGDSNとRFIDの普及へと拡大していく方針を発表している。

 記述したようにGDSNの基本情報としてGTINが採用されており、またRFIDの国際標準コードであるEPC(エレクトロニック・プロダクト・コード)には同じくGTINを基軸とした標準コードが設定されている。


著者:舟本秀男氏(舟本流通研究室代表)

日本NCRにおける33年間の業務経験と、5年間の米国勤務経験を基盤に、流通業を革新するための最新の取り組みを研究することで知られる。平成11年に舟本流通研究室設立、米国ムーンウォッチメディア社と業務提携し『リテール・システムズ・アラート』日本語版を発行。日本経済新聞が主催するRetail Technology Summitの企画も手がける。

 経済産業省委託、2002年「SCM推進のための商慣行改善調査委員会」委員。総務省、2002年「国際競争力回復のための企業IT化戦略研究会」委員、ほか。著書『流通再生戦略(同友館)』『図解CPFRがわかる本(日本能率協会マネジメントセンター)』など。

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