AquaLogicでサービス基盤の橋頭堡を築くBEA(2/2 ページ)

» 2005年06月13日 20時02分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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サービスインフラストラクチャーが必要

 多くのライバルベンダーらは、かつてBEAがそうだったように、SOAは現行のアプリケーションインフラストラクチャーで実現できると主張している。

 「それはある程度までは正しいが、SOAにはさらに解決すべき幾つかの課題がある」とブレア氏。

 SOAを実現するアプリケーションインフラストラクチャーが企業に導入され、しかもSAP、Oracle、そしてBEAだけでなく、.NETまで「異種混在」するようになると、次々とさまざまなサービスがあふれかえってしまい、サービスのライフサイクル全般を管理する「リポジトリ」が必要になる。

 現行のアプリケーションインフラストラクチャーの守備範囲がサービスを構築してエクスポーズすることであるのに対して、本格的にSOAを展開していく中では、サービスを見つけて組み合わせることが重要になるし、セキュリティポリシーも企業全体で一貫性が保たれていなければならない。

 「SOAに本格的に取り組み、企業システムの再利用を考えるであれば、そのための専門的な基盤としてサービスインフラストラクチャーが必要になる」(ブレア氏)

 既にBEA eWorld 2004 San Franciscoでアルフレッド・チュワングCEOが、「SOAを展開していくうえで最も重要になってくるのが、ライフサイクル管理だ」と指摘していたのが印象的だった。

 サービスがしっかりと管理されていても、それらのつなぎ方がポイントツーポイントでは統制はとれない。そこでサービスをうまく接続する「バックボーン」も必要になる。BEAのアプローチでは、このバックボーンに「データやセキュリティポリシーの管理機能」も組み込むことで、サービスごとに行わなければならなかった開発者のコーディングを排し、基盤ソフトウェアによって管理できるようにしようとしている。

 「データとセキュリティのサービスは、サービスインフラストラクチャーの核だ」とブレア氏。

 さらにSOAだからといってそれだけで「迅速に」アプリケーションが構築、あるいは組み替えられるわけではない。人を中心とした統合を図るポータルやビジネスプロセスをオーケストレーションする機能も欠かせない。ITの専門家をいちいち呼ばなくとも、サービスを組み合わせられるコンポジッションツールも必要になる。

より大きな市場を狙うBEA

 こうして見てきたように、これらの解決すべき課題は、もはやアプリケーションインフラストラクチャーの守備範囲を超えている。そこはコーディングとコンパイルという世界とは異なる「コンポジッションとコンフィギュレーション」の世界ともいえる。そのための基盤が「サービスインフラストラクチャー」というわけだ。

 BEAはここ数年、WebLogic PlatformとWorkshopフレームワークによって、アーキテクト、J2EEデベロッパー、プロセスモデリング、インテグレーションデベロッパー、ポータルデベロッパーといったさまざまな技術者が、すべて同じマナーで共同作業でき、それによってIT生産性が大幅に改善できるとしてきたが、SOAの進展に伴い、サービスのための基盤を無理に押し込めることなく、解き放った。デベロッパーだけでなく、より幅広い顧客層をつかむためであり、また、ライバルの顧客にも食い込むためだ。

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