受発注情報サイトで企業間取引を拡大させよう売ってなんぼ! 中小企業の顧客獲得作戦(2/2 ページ)

» 2005年11月15日 08時02分 公開
[木村玲美,ITmedia]
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受発注情報サイト活用成功のポイント

 サービス業の受発注情報サイトとして知られているものには「楽天ビジネス」があります。以前、楽天ビジネスに登録している印刷業者の繁盛例を伺いました。その秘訣の一端を紹介しましょう。

 楽天ビジネスに登録している印刷業者は、「こんなものを印刷したい」という買い手企業のニーズ情報に対して、業界用語を使用して見積もりを出しているケースが多く見られます。「上質紙55kg(四六版換算)何枚幾ら」という感じです。しかし、繁盛する業者のやり方は異なります。

 「顧客がイメージされているのは、日曜日の新聞折り込みに入ってくる2つ折りで、高級マンションのチラシに使われているような、ちょっと厚手でつや消しの紙ですか? それとも……」と誰にでも理解できるような言葉にして、ニーズを確認していきます。そして「その用途だったら、こちらの紙の方が安価で適しています」とやり取りをしていくのだそうです。少ロットでも懇切丁寧な対応を行うことで、後の大量受注に結び付けています。

 成功を収めている売り手企業に共通しているのは、

  • コミュニケーション能力が高く、理解力・想像力がある
  • 自社の強みを把握し、顧客に合わせた分かりやすい提案をしている
  • 品質と値段のバランスが良い、安ければ良いわけではない
  • 地理的要件をものともしない

という点です。前回説明したB2Cのショッピングモール同様、受発注情報サイトでも究極的にはフェイス・ツー・フェイスによる対面営業が基本となってくるのです。

受発注情報サイト活用のメリット・注意点

 受発注情報サイトを活用する長所と注意点は、ショッピングモールとほぼ同じといえます。ただ、企業間取引は、掛け売りや取引額が高額になる場合もあるので、与信管理を怠りなく行う必要があるなど、注意点もあります。以下にメリットと注意点をまとめました。

<受発注情報サイト活用のメリット>

  • 受発注情報サイトのブランド力、集客力を利用できる
  • 初期費用がかからず、出店できる
  • 受発注情報サイトからの情報提供、サービスを利用できる
  • ホームページ作成のノウハウが必要ない
  • 企業間のコラボレーションへと展開する可能性がある

<受発注情報サイト活用の注意点>

  • 受発注情報サイト事業者間での競争がある
  • 特色を出さないと埋もれてしまう
  • 与信管理の難しさ(与信管理機能を持つ受発注サイトもある)

 受発注情報サイトは、ここまでに紹介してきたような販路開拓だけでなく、仕入先、パートナー企業、取り扱い商品の発掘にも威力を発揮します。企業力、商品力の強化にも役立てることができるわけです。受発注情報サイトを上手に活用できれば、中小企業のビジネス拡大に非常に有効な道具となってきます。

各分野の主な受発注情報サイト

<総合>

「ザ・ビジネスモール」(大阪商工会議所) 無料

「経革広場」(マイクロソフト) 無料

「商談.com」 無料

<製造業>

「NCnetwork」 初期登録料1万円、3000円/月〜

「ものづくりタウン21」 無料

(財)全国下請企業振興協会 無料

<サービス>

「楽天ビジネス」 法人2万円/月、紹介3000円/1件

「商談上手」 無料(近畿地方事業者のみ)

<その他商材>

「トラボックス」 無料 荷物とトラックのマッチング

「ザッカネット」 正会員6000円/月 雑貨の製造・卸・小売のマッチング

「ドラッグネット」 12月末まで無料 ドラッグストアとホームセンターのマッチング

※売り手登録を無料としているサイトもオプションの有料サービスを提供している場合があります。


木村玲美

ITコーディネータ、産業カウンセラー、NPO法人ITC-METRO常務理事、浜松総務部(有)代表取締役。経済産業省IT経営応援隊IT経営教科書策定委員。中小企業を元気するお手伝いがミッションと考える

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