「SONAによってSOAが加速する」、シスコ黒澤社長

「SONA」という新しいコンセプトを発表したCisco。シスコシステムズの代表取締役社長、黒澤保樹氏にその展開を聞いた。

» 2005年12月08日 21時42分 公開
[富嶋典子,@IT]

 米Cisco Systemsが米国サンノゼで開催した「シスコアナリストカンファレンス2005」の注目トピックは「SONA」(Service-Oriented Network Architecture)、「IP NGN」(Internet Protocol Next Generation Network:次世代IPネットワーク)だった。これらの新コンセプトを日本でどう展開するのか。シスコシステムズの代表取締役社長、黒澤保樹氏に聞いた。


―― SONAを国内でどう伝えていくのか

黒澤 SONAのコンセプトは、企業のビジネスアプリケーションの効果を最大限に引き上げること。日本でもITリソースに投資し過ぎた企業がたくさん存在している。ビジネスアプリケーションのパフォーマンスをネットワークの根本から改善するというSONAのコンセプトは、十分にニーズがあるでしょう。

黒澤氏 シスコシステムズの代表取締役社長、黒澤保樹氏

 まずは、効果をアピールしやすいように、導入企業の事例をつくりたい。早速、自社から導入していきます。RFIDなどを活用している流通業や製造業の企業が導入すると、より大きな効果が得られると期待しています。

 SOAを検討する企業にはぜひSONAの導入も同時に進めてもらいたい。IT資産の再構築やソフトウェアの最適化は、それらのデータが流れるネットワークから着手するのが効果的。SONAはSOAを加速させていくと考えています。

 データ、音声、動画をIPネットワークに統合することが不可欠です。残念ながらIT投資に対して危機意識のない経営者の企業では、まだその統合すらも行っていないケースもある。米Cisco SystemsのCEO、ジョン・チェンバース(John Chambers)は昨日の講演で、米国の企業の大半の経営者にはIT戦略があると語りました。日本の企業の経営者にも、自社の生産性を向上させて運用コストを削減するために、IT戦略を立てて積極的に実行していってほしいです。

―― 今回のカンファレンスのもう1つのキーワード、IP NGNの国内普及は?

黒澤氏 シスコが目指すIP NGNとは、ケーブル、インターネット通信事業者、携帯電話通信事業者が、必要に応じてIP電話、ビデオ、ワイヤレス、データ通信の各サービスを提供できる共通のサービスプラットフォームの構築を意味します。

 IP NGNが普及すると、ユーザーはいつでもどこでも、データ、音声、ビデオを活用したコミュニケーションが可能になります。自宅、勤務先、移動中のどの場所からでもデバイスを選ばずにアプリケーションが利用できるようになるでしょう。

 日本ではすでにIP電話が広く浸透しています。携帯キャリア同士が同一の電話番号を利用できるようにする番号ポータビリティの取り組みも始まろうとしていて、通信事業者のサービスの統合や仮想化が進んでいるといえます。

 キャリア向けIP NGNの核となる次世代ルータ「Cisco CRS-1」の開発、品質向上には、日本からの要求が多分に組み込まれています(関連記事)。日本市場に対する期待は大きく、米Ciscoや日本の通信事業者と連携しながらキャリア網のIP NGN化を実現させていきたいと考えています。

―― 米本社が注力しているリンクシスの国内戦略は?

黒澤氏 日本では、リンクシスの安価なエッジ端末を活用し、中小企業やSOHO向けにキャリアのマネージドサービスとして展開することが可能だと考えています。戦略としては、例えば、NTT東、西日本の通信サービスを販売する法人営業を通じて、拡販していきたいと考えています。家庭向けのサービスも、ジュピターテレコム(J-COM Broadband)には無線LAN一体型のケーブルTV用のモデムを提供していますが、拡販に向けて模索していきます。



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