成功のためのIT活用10カ条ゼロから始める中小企業IT化への道(2/2 ページ)

» 2006年08月31日 10時50分 公開
[伊嶋謙二,ITmedia]
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その7:財務会計システムを戦略的に活用する

 財務会計システムは、既に約9割の中小企業が導入しており、必須のシステムであるといえる。そのため、非常に多くの製品が流通しており、ユーザーは多くの製品の中から、価格、機能、サポートといった点を多角的に比較して、自社に見合ったパッケージを選択しているはずだ。

 その財務会計システムにさらに付加価値を付けたいのならば、自社の意思決定や戦略立案のための機能である「管理会計」を利用することだ。パッケージ機能には差はなくとも、利用法で他社と差を出せば、戦略的なシステムとなる(関連記事)。

その8:ERPで基幹業務システムの統合を

 財務会計システムや人事給与システムなどは、企業の大黒柱とも言える基幹系システムである。そのため、現在特に注目されているのがERP(Enterprise Resource Planning)だ。

 以前に比べて価格も大幅に下がっており、短期間で導入できるようになっている。データを一元管理し、戦略的な経営を行うには、ERPは非常に有益なツールになるだろう(関連記事)。

その9:内部統制で企業の在り方を見つめ直す

 新会社法や日本版SOX法(金融商品取引法)などが主導する形で、ITにおいても現在「内部統制」という言葉がキーワードとなっている。

 内部統制とは「企業としての在り方」、つまり、経営の透明性、健全性を組織として機能させることを問うたもの。企業経営に関わることであり、ITとは別次元のことだ。しかし、実際にはITと企業経営はもはや切り離すことのできない関係になっている。そのため、内部統制の実現にITが関与することは間違いない。内部統制は、ITを活用したBPR(Business Process Reengineering)を図る良いきっかけになるだろう(関連記事)。

その10:「経営者、IT担当者、現場」の三位一体でITを導入すべき

 これまでに述べたようなITを導入する上で、念頭に置いておくべきなのは「経営者が積極的に関与する」ことだ。ところが実際は、自社のIT担当者がパッケージや購入先を選定して、経営者は導入を決定するだけ、いわばハンコを押すだけのスタンスである。

 これではITを経営に活用することは不可能に近い。ITを導入して経営に生かしたいのなら、まずは経営者がIT導入に積極的に関与しなければならない。IT担当者だけではなく、経営者と実際にシステムを使う現場の社員が三位一体となって、導入を進めることが必要だ。


 あなたが導入したITは活用されているだろうか? 投資に見合っただけの効果は享受できているのだろうか?

 ITは導入するだけで効果が出るような代物ではない。確かにOAの時代のような「経費の削減」は今でも重要だが、それよりも「ITで戦略経営を目指す」という段階に来ている。企業はITを駆使して情報武装すべきなのだ。

 販売店やベンダーに任せてばかりではなく、自ら取り組み、身に付けなければならなない。多くの中小企業の方々には「成功のためのIT活用10カ条」を参考に、経営に役立つことが実感できるようにITを活用していただきたい。

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