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» 2007年04月09日 07時00分 公開

春の新人応援連載:同期の3人に1人が3年以内に退職!? 新入社員流出時代の幕開け

今年の新入社員は『デイトレーダー型』――。年度ごとの新入社員のタイプを命名している社会経済生産性本部は、2007年度の新入社員のタイプをこう命名した。キャリアパスが重要となるこれから、先輩社員からのアドバイスを紹介する。

[大山貴弘,ITmedia]

今年の新入社員は「デイトレーダー型」

 「ネットオークション型」や「ブログ型」など、年度ごとに新入社員のタイプを命名している社会経済生産性本部は、2007年度の新入社員のタイプを『デイトレーダー型』と命名した。「細かい損得勘定で銘柄(会社)の物色を継続し、安定株主になりにくい。売り手市場だっただけに、早期転職が予想される」と、常によい待遇や仕事を求めて転職をもくろむ傾向があるとし、その特徴を1日に何回もの株取引を行い、細かく利益を確保しようとする個人投資家になぞらえている。

 しかし、こうした新入社員の傾向はどうも今年だけの話ではなさそうだ。文部科学省の発表した「新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移(PDF)」によれば、ここ10年の大卒新入社員の離職率は、在職3年目で30%を上回っていることが分かる。新入社員のうちの3割が3年以内に退職するという“3年3割問題”は、いまや多くの企業が抱える問題である。

十年間における大卒新入社員の離職率推移(出典:文部科学省)

 文部科学省の統計によると、平成11年以降、同期に入社した新入社員の3人のうち1人は3年間以内に会社を辞めている計算になる。人材育成企業の代表取締役社長 森田英二氏は、著書『「3年目社員」が辞める会社 辞めない会社』(東洋経済新報社)の中で、こうした傾向は今後さらに強まり新入社員をはじめとする若手社員の早期離職傾向は進むと予想し、これを“若手流出時代の幕開け”としている。

 入社と同時に年功序列と終身雇用がセットで与えられた時代は今や昔。年功序列制度を廃した企業が成果主義や実力主義を謳い、社員達はデイトレーダーのようなドライな関係性を企業に求めるという、新しい雇用関係が生まれようとしている。この春から新しい門出を迎える新社会人は、“働き方”に対する大きな節目に立っているようだ。

どんな仕事だって“石の上にも三年”

 逆に、どんなにつまらない仕事でも3年間は我慢して続けるべきだと説くのは、松下電器産業を一代で築き上げた経営者、松下幸之助氏だ。社員が自らを高めるためになすべき事、考える事を綴った著書『社員心得帳』(PHP研究所)の中で、新入社員の心得として「最初はつまらないと思えた仕事でも、何年間かこれに取り組んでいるうちに、だんだんと興味が湧いてくる。そしてそれまで自分でも気づかなかった自分の適性というものが開発されてくる」と語り、“石の上にも三年”の重要性を強調している。そして、もしその後に仕事を辞めることになったとしても、3年間、腰をすえて取り組んだことは新しい仕事を進めていく上でも大きなプラスになると説く。

 また、前述の『デイトレーダー型』を命名した社会経済生産性本部の職業のあり方研究会も、「ネットを通じた横のつながりで情報交換をするのもいいが、一人前の働き手になるにはそれなりの時間がかかることも新入社員たちには忘れないでほしい。自分さがしも大事だが、まずは目の前の仕事にじっくり取り組むことを期待したい」と『デイトレーダー型』新入社員に対してアドバイスを送っている。

 “3年3割問題”の背景には、人材紹介業や人材派遣業の成長による、転職市場の成熟も関係している。賑わう転職市場に足を踏み入れば、いま勤めている会社よりも高い値を自分に対して与えてくれる会社を見つけることも難しくないかもしれない。しかし、目先の待遇や報酬を求めて転職を繰り返しても、結局は自分の成長の可能性を狭めてしまうことになりかねない。目先のことだけにとらわれず、10年、20年、30年と先を見越したキャリアパスを描いていくことが必要のようだ。

求められる“キャリアパスの複線化”

 では、こうした“働き方”に対する価値観の転換期にあって、これからキャリアを重ねていこうとする新入社員達は、どのようなキャリアパスを描いていくべきなのだろうか。

 人事コンサルタントの城繁幸氏は、著著『若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来』(光文社刊)の中で、従来の日本の年功序列や成果主義による人事制度の限界を指摘し、より理想的な成果主義として“キャリアパスの複線化”が不可欠であると主張する。年功序列と終身雇用が崩壊した以上、従来のような年功序列組織型の画一的なキャリアプランは成立せず、キャリアパスの複線化なくして若い社員が企業に明るい未来を見出すことはできないという。

 しかし、キャリアパスの複数化とはどういうことだろう。城氏は著書の中で以下のように説明している。

「彼の前には二つのレールが分かれている。一つは高い権限を含むマネジャーの道。もう一つは高い専門性を持つプレイヤーの道。もう報酬は地位や年齢には比例しない。どちらに進むにせよ、彼がどこまで進めるかは彼次第だ」

 自分は将来、どんな道を歩み、どんなキャリアを積んでいきたいのか。入社早々に、こういった問いに対する答えを出すことは難しいかもしれない。しかし、20年、30年経った後にその答えを見付けても、もう手遅れの場合が多いだろう。逆に、自分の進みたい方向さえ分かっていれば、多少道順が変わったり、道に迷ったりしても、なんとかなるものだ。

先輩社員は“生き字引”

 これから仕事をしていく上で、新入社員が手本としなくてはならないのは、やはり先に社会人として社会の荒波に揉まれてきた先輩社員である。先輩社員達は、少なくとも現段階の新入社員とは比べものにならないほど多くの苦労や経験を重ねているものだ。こういった先輩社員の教えを吸収しつつ、そこに自分の考えを新たに見出しながら仕事を進めていくのが、新入社員の務めである。

 そこで次回からは、企業の中のさまざまな業種で働く先輩達に、仕事を行う上でどういった心構えや行動、努力が必要であるかを聞き、紹介していきたいと思う。それぞれの先輩方によるアドバイスを、今後のキャリアパスを描くための参考にしてほしい。

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