今期から「IT視点」を持とう――投資効果の最大化目指す強いユーザーはここが違う(2/2 ページ)

» 2007年04月16日 07時00分 公開
[大西高弘,アイティセレクト編集部]
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「見える化」「内部統制」を別の角度から見る

 投資額に対して予想以上の効果を実感できるIT導入をするにはどうすればいいのか。難しい問題だが、ITコーディネータ協会(以下、ITCA)会長の関 隆明氏のこの言葉にヒントがありそうだ。

ITコーディネータ協会会長、関 隆明氏

 「経営者は自社の仕事の流れ、ワークプロセス、ビジネスプロセスというものは持っています。一方でITCはその会社の戦略を具現化するプロセスを常に考えている。現状のワークプロセスだけでは、将来の戦略のプロセスを明確化することはできません。自分の会社の仕事は隅から隅まで知っていても、例えば内部統制のシステムをすぐに構築することはできない。ITCはこうした場面でもIT投資の意義を経営者に理解してもらう役割を担っています」

 経営者、特に中小企業の経営者は現場の隅々まで理解していることが多い。その経営者がITのプロでないにせよ、第3者に対して仕事の内容を分かりやすく伝えたり、どういうシステムにしたいのかを理解させづらいのは何が原因なのか、と質問した際の回答である。

 仕事の内容、社員の働きなどについて熟知しているということと、将来を見越した戦略を策定できるということは別なのだ。自社の業務について熟知しているがあまり、いつも現状の業務から「見える化」や「内部統制」といったテーマを見てしまう。確かにその視点からだけでは、新しい仕組みを作ることは難しい。

 ITの視点から経営者が業務や会社そのものを見つめるということの大切さを、関氏は強調する。

 「ITCは全国で自主組織を作って活動しています。その数は百数十にもなる。こうした地道な活動以外にITCAは『IT経営キャラバン隊』『IT経営応援隊』などの活動でも中心的な役割を担っています。『IT経営応援隊』は経営者にITと自分たちの経営との接点に気づいてもらうことを目的にしています。『ITを活用して経営効率を高めることができる。うちでもやれる』と気づいてもらう運動です。そして『IT経営キャラバン隊』は気づきから発展して、実践方法について知ってもらうという取り組みです」

 ITの視点からというと、難解な言葉や意味不明なチャート図などを想像するかもしれないが、要は新しい仕組みだと考えればよいのだとITCの多くは話す。実際のシステム構築はプロに任せればいい。もちろん別の視点から経営や業務を考えるときには、ゴールまで一緒に走り続けてくれる伴走者がいると心強い。それがITC、ITコンサルタント、CIOといった人たちの役割の1つなのかもしれない。

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