「電源容量不足」攻略法!拡張は計画的に(2/2 ページ)

» 2007年12月27日 07時00分 公開
[敦賀松太郎,ITmedia]
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レガシーシステムを仮想化環境に再現

 A社では当初、リースアップやソフトウェアのサポート終了を迎えたサーバコンピュータから順にリプレースしていく予定だった。しかし、そのリプレース時期を前倒し、開発環境に利用しているサーバコンピュータを一気に入れ替え、少数のサーバコンピュータに物理的に集約することにした。

 最新のサーバコンピュータは、性能当たりの電力効率が向上しているものの、必要な電源容量が減っているわけではない。したがって、サーバコンピュータの台数を大幅に削減する必要がある。とはいえ、移行しなければならない業務の数は、サーバコンピュータの数以上にある。これらを1つの環境に統合することは不可能ではないが、多くの開発工数が必要な手間のかかる作業だ。

 今回のサーバコンピュータの物理集約は電源容量不足を解消することが目的であり、できる限り業務の内容が変更することは避けたいという意向がA社にはあった。そのために採用したのが、仮想化環境だった。

 A社では、リプレース対象のサーバコンピュータのOS、アプリケーションなどのソフトウェア環境を仮想環境に忠実に再現することにした。サーバコンピュータの中には、すでにサポートが終了しているWindows NT 4.0や古いカーネルのLinuxが稼働しているシステムもあったが、それらを含めて仮想化環境に移行した。これにより、実際にサーバコンピュータのアプリケーションを利用するクライアント側には、サーバコンピュータが入れ替わったことをほとんど意識させずにリプレースすることができた。

 仮想環境では、物理環境に比較するとどうしてもパフォーマンスは低下してしまうが、旧式のサーバコンピュータに比べれば、ずっと高速に動作する。エンドユーザーからは、パフォーマンスが改善されたという好評の声も寄せられた。

 今回のサーバコンピュータの物理集約では、およそ30台のタワー型サーバを3台のラックマウント型サーバに、わずか3カ月の期間で統合した。電力消費量も、4分の1程度に削減されたという。

 サーバコンピュータの物理集約のために仮想化技術が注目され始めているが、実際に導入・運用されている事例はまだ少ない。今後は、A社のような事例が増えるものと期待される。

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