松屋銀座にとって、iPhoneやiPod touchをガイダンス端末として利用するのは初めてであるため、店内に無線LAN環境を構築する必要があった。システム構築を担当した松屋の業務管理部システム課コンピュータ係の佐藤洋一専任課長補佐は「店内ではPOSレジを使用していますので、既存の無線ネットワークと干渉しないシステムを構築する必要がありました。また、公衆無線を開放することにセキュリティポリシーの観点から懸念がありました」と当初の課題を話す。
そこで、既存のPOSレジ用の無線ネットワークとは切り離した、WiFi用のIEEE 802.11b規格の無線LANネットワークを新たに構築した。また、無線LANは、WEPによって暗号化し、端末からネットワークにアクセスするにはWEP認証を必要とする設定とした。これらの作業で、ネットワーク干渉とセキュリティ面の懸念を解消できたという。
「フリースポットの構築には特別な苦労はありませんでした」と佐藤氏は振り返る。「既存の無線ネットワークから、使用していないチャンネルを割り出してフリースポットを構築する作業だけだったので、1カ月弱という短い期間でシステムを構築できました」(佐藤氏)
構築したシステムは、松屋銀座店内にアクセスポイントを兼ねたルータを設置し、ガイダンス用のコンテンツを持つwwwサーバとルータをVDSL回線でつなぐという「いたってシンプルなシステム」(佐藤氏)だ。
松屋の営業企画部IT推進課、石井新一専任課長補佐は「iPhoneやiPod touchが使える環境を構築したいという話を聞いた時から、面白いと思いました。従来松屋が行ってきた展示会とは一味違った取り組みができそうだ」と期待する。
「理想のガイダンスができました」と話すのはナガオカ氏。「自分が持っているiPhoneやiPod touchが、展示会の場でガイダンスという特別なものになるという、感動を味わってほしい」と続ける。「これからはお店で接客用にiPhoneやiPod touchを使っていければと思います。家具の組み立て解説などを、店頭のモニターで流すだけでなくiPhoneやiPod touchを使って配信すれば、自宅でも閲覧でき利用者の利便性も向上するのでは」と今後の可能性についても言及した。
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