コグノスはBIツールとビジネス分析ソフトウェアを12月初旬に発売すると発表した。日本IBMの三浦浩執行役員は「Lotusよりも大きな買収だった」とコグノスとのシナジー効果を語る。
IBM傘下でビジネスインテリジェンス(BI)ツールを提供するコグノスは10月31日、BIツール「IBM Cognos 8 v4」とビジネス分析ソフトウェア「IBM Cognos TM1」を12月初旬に発売すると発表した。企業の経営情報をオンデマンドで分析し、計画の立案や予算作成のプロセスを最適化できるという。
IBM Cognos 8 v4は、企業向けデータウェアハウス「IBM InfoSphere Warehouse」や統合データ管理ソフトウェア「IBM InfoSphere Data Architect」など、IBMの情報統合ソリューション「InfoSphere」シリーズと連携できるのが特徴だ。
レポートに使用したデータの出典を系統化して確認できる「データリネージ(系統管理)」機能も追加。InfoSphereで管理しているデータウェアハウスから、IBM Cognos 8で作成した経営情報までを戦略に生かせるという。
ダッシュボード作成機能「IBM Cognos 8 Go! Dashboard」も新たに追加。企業内検索エンジンとも連携でき、PDFやWordなども表示できる。経営者や経理担当者などあらゆるユーザーが、IBM Cognos 8上の売上/収支/経費データを自分のダッシュボードにドラッグ&ドロップといった簡単な操作で追加できる。ダッシュボードはFLASHベースだ。
IBM Cognos TM1は、64ビットインメモリ型OLAP(オンライン分析処理)サーバとして利用することで、高速分析ができる製品。500ユーザーが読み込みや書き込みをする場合、全体の99.6%を2.5秒以下で処理できる。
財務・経営部門を意識した作りになっており、ExcelやWebブラウザをインタフェースにできるモジュールを用意している。いつ誰がメタデータを変更したかといった履歴を記録し、ログを追跡ができるようにもなっている。コグノスの細野一雄社長は「シミュレーションを繰り返せるようにインメモリにした。競合する製品を出している企業はない」と胸を張る。
「ソフトウェア事業を完成させるための最後の1コマだった。ソフトウェア事業の始まりとなったLotusよりも大きな買収だ」
日本IBMソフトウェア事業担当の三浦浩執行役員はコグノス買収の手応えを語る。特にIBM Cognos 8 v4は、情報活用戦略「Information on Demand(IOD)」を構成する主軸製品の1つ。Cognosを取り入れたことで、データの管理、統合、分析という各フェーズに見合う製品やサービスを提供できるようになった。現在IBMは、IOD戦略に基づいて製造/流通/保険/銀行/医療/通信業界別にサービスを横展開している。
細井社長はIBMとの統合の価値について「(KPIと客観的データに基づく意志決定を支援する)パフォーマンス文化を支援できるようになったことだ」と述べ、BI中心のベンダーというイメージを切り替えていく意向を見せた。
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