NEC、山形県の7市町から基幹業務システムのASPサービスを受注自治体向けASP

NECは、山形県置賜地域7市町から、基幹業務システムのASPサービスを9年間にわたり約20億円で受注した。

» 2009年03月06日 04時00分 公開
[ITmedia]

基幹業務のASP利用

 ASPサービスを導入するのは山形県置賜(おきたま)地域の米沢市、長井市、南陽市、高畠町、川西町、白鷹町、飯豊町の7市町。これまで、自治体での導入が進んでいたASPサービスは、電子申請や施設予約などフロントオフィス系業務が中心で、バックオフィス系業務である基幹システムをサービスで利用する場合は、個々の自治体が独自のシステムをデータセンターに設置、または、複数の自治体が共同で構築した独自システムをデータセンターに設置する形態が主流だった。今回のASPサービスは、NECが特定のデータセンターに設置した業務パッケージソフトをサービスの形で提供するもので、「こうした形態のサービス導入は全国でも先進的な試み」とNECでは説明している。

 今回のASPサービスは、住民情報・税務・国保/年金・介護/福祉などの自治体の基幹業務系と人事給与・財務会計などの内部情報系の計12システムを、各団体との個別契約に準じて、データセンターからネットワークを介して提供するもの。合わせて、基幹業務に付随するデータ入力・帳票出力・封入/配送などの作業もNECがアウトソーシングサービスとして提供することで、システム企画・構築・運用から付随作業まで基幹業務支援にかかわるトータルなサービスを実現している。

 導入を決めた7市町の人口は約22万人。第一弾として、長井市と川西町で4月から利用が開始され、他市町においても現行システムの切り替え時期に合わせて順次開始されるという。ASPサービスで活用されるのはNECの自治体向けパッケージソフト「GPRIME(ジープライム)シリーズ」。NECは、地方自治体向けシステム構築の経験やノウハウを「GPRIMEシリーズ」パッケージソフトウェア群に投入しており、この実績が導入決定の決め手になったとのことだ。7市町には、パッケージをデータセンターからネットワーク経由で提供する。また各自治体は平成20年度決算から導入される「新地方公会計制度」への対応が求められているが、今回のサービスにはこの制度への対応機能が組み込まれているという。

 基幹システムの運用、保守業務、さらに制度改正に伴うシステム変更の負荷などを考慮すれば、もともと少ない職員リソースでこれらに対応していた中小規模の自治体にとって、今回のようなサービス導入は業務改革を進める大きな原動力になる。また基幹業務に付随するデータ入力・帳票出力(印刷)・帳票の封入/封緘・運搬などの作業をアウトソーシングすることでさらに負担軽減が可能だ。限られたリソースの中で行政サービスをより多様化、高度化させることが求められている各自治体が、今後こうしたサービスを他の市町村と共同で利用する動きは活発化するとみられる。

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