NEC、米国「遺留指紋照合技術評価テスト」で第1位獲得FBIも注目

NECは、米国技術標準局(NIST)が実施した「遺留指紋照合技術評価テスト」で、世界第1位の指紋照合技術を有するという評価を獲得した。

» 2009年04月17日 12時03分 公開
[ITmedia]

2位以下を大きく引き離す

 遺留指紋とは、犯罪現場に残っている指紋(物体を触った時に残る指紋の跡)のことで、「遺留指紋照合技術評価テスト」は、あらかじめ全自動で登録しておいた指紋画像1万人分(10万指)に対して遺留指紋画像835件を全自動で照合した際の認識率を評価したものだ。遺留指紋画像は、指紋のごく一部、あるいは、いくつかの指紋が重なっているなど、状態がよくないことが多く、完全な情報が得られない場合、指紋鑑識専門家が手作業で照合に必要な指紋の特徴情報を付加しているという。この手作業の手間と時間は、犯罪捜査の障壁になっており、迅速な捜査や事件解決のため、照合の自動化ニーズが高まっている。

 今回のテストは、遺留指紋照合処理の自動化の可能性を検証することが主な目的。また、テストデータはFBIを中心とする運用システムで実際にヒットした遺留指紋からランダムにサンプリングされたものだ。実運用レベルのテストデータにおいてNECが97%もの高い認識率を実現したことで、遺留指紋照合処理を自動化できる分野が広まったと高く評価されている。

 今回NECは2位以下のベンダを大きく引き離し(NECの認識率97.2%、2位87.8%、3位80.0%)、指紋照合技術の優位性をあらためて実証した形となった。同社によれば、この高い認識率は、自動遺留照合のために強化した低確信度特徴点適応技術やゾーン(領域特性)照合技術などに加え、新たに開発した遺留指紋のノイズ除去技術や低品質隆線認識技術という最新の指紋画像処理技術を組み合わせることで実現したものだという。

 今回の評価テストは、悪質化・広域化・多様化する犯罪に対応するため、遺留指紋自動処理技術の研究開発を促進し、その早期実用化を図ることを目的としている。テストには、国土安全保障省、司法省、FBI、国防省、U.S Visitプログラム等も協賛・支援として参画しており、評価結果は、世界的に注目されている。

 NECは今回の結果を推進力として、指紋関連製品の売上について、今後3年間で400億円に拡大する計画だという。

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