新進気鋭のベンチャー企業の新入社員が持つべき心構えは、「早い段階で戦力になる」ことだ。ベンチャー企業では、新人の立場に甘んじる事なく、数字に責任を持ち、達成し続けていくことが求められる。「早期の戦力化」が重要と気付いたのは、わたしが人材紹介業へ転職し、新規顧客開拓の活動を上司に報告した時だ。
「○○という展開を考えているのですが、それにはこういったリスクがあって……」。活動内容の詳細を伝えようとしたわたしの報告を、上司はこう切り捨てた。
「リスクばっかり見て動き出すのが遅い。失敗は当然。一度痛い目にあってから考えればいい」
この一件で、ルート営業職時代の考え方が抜けず、ミスを極端に恐れてしまう姿勢になっていたことが露呈した。担当する顧客と長い付き合いになるルート営業において、前例のない思い切った提案よりもリスクの少ない確実な提案をすることを第一に考えていた。それが仇になってしまったわけだ。
ベンチャー企業での新規開拓は、行動を重ねることで成果が生まれる。「ダメだったら次」と気持ちを切り替えることが重要だ。
ルート営業時代の経験から鳴りを潜めていた「情報発信」の姿勢。これがベンチャー企業では大いに生き、成功をたぐり寄せた経験もある。
新規顧客の開拓状況を共有する会議でのことだ。わたしはアポイント取りの会話手法や飛び込み営業で話を聞いてもらう方法などを、積極的に発言をした。ここでは発言を重ねた分だけ、その姿勢が評価につながった。
新規営業はルート営業と違い、「こうすれば必ず契約が取れる」という方程式はない。誰もが手探りで営業をしている。それだけに、手法が正しいかどうかが重要ではなく、「こうすればいい」という意志を発信することが議論の活性化と、営業手法における仮説の立案につながっていった。
Excelで新規顧客の管理リストを作成していた時の成功体験もある。同僚の中でたまたまPCの操作に長けていたことで、部門ごとのデータ分析を担う役割に抜擢された。スキルがあるということを積極的に情報発信することで、、「営業兼グループ内システムエンジニア」という売りを持つことができ、「困ったときはあの人に頼めばいい」という立場を確立できた。
ベンチャー企業では、考える前に行動する瞬発力、そして絶えず情報を発信し続ける積極性が大切だ。自分の趣味の範囲であっても、それが何かの役に立つと思うならば、遠慮なく知識や経験を披露すればいい。
このように「職場を円滑に回すこと」「早期から戦力になること」を意識しておけば、営業においてほかの新入社員に差をつけることができる。
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