この記事をお読みになっている多くは、すでに学校を卒業され、社会人として活動されている方だと思います。とすると、ここから先をどう過ごしていくか、どう学んでいくか、ということを考えなくてはなりません。
日本では政権交代が行なわれ、事業仕分けが行われました。いままでの政権下では考えられなかったことです。この事業仕分けはインターネット経由で放映され、ニュースにも多く取り上げられました。露呈したのは、事業を企画し、提案する人の思考が停止しているとしか思えない事例の存在です。
「思考停止」という言葉を辞書で見てみると「固定観念に基づく判断の枠組みを超えていない」「状況が変化しているにもかかわらず、以前の方針をそのまま当てはめる」状態を指し、議論において極めて批判的に用いられると書かれています。
政権が代わり、やり方も変わり、いままでの申請方法では通らなくなってきていることは、政府が事業仕分けを実施していることからも分かるはずなのに、固定概念以上の質問を想定していない、できていないわけです。だから、しゃべり方はともかくとして議員の方々からごく一般的な質問が出てきても納得できる回答ができない。
官僚や、事業を企画された外郭団体の方々の能力の問題ではないと思います。むしろ、優秀な方が集まっているのでしょう。問題は、状況が変化しても以前の方針、方程式を当てはめてしまうことにあります。
事業仕分けは分かりやすい事例かも知れませんが、わたしたちの周りには、さまざまな思考停止が存在します。カリスマ経営者の下で働く幹部社員も、ときにはそうなりがちです。
「自分たちが何を提案してもどうせ社長が否定する」――本当にそうでしょうか。自分たちの提案は、社長から見ると深掘りできていないからかもしれません。そういう幹部社員の部下たちは、そういう言葉を真に受けてしまうことがあります。逆に「うちの上司は……」と言い始めるケースもあります。
上司が反面教師になるという考え方もあります。自分が幹部になったらこうしよう、という予習にもなるというとらえ方があると思います。自分は教育者たちから学ぶことはできなかったけれども、代わりに自らが教育者になっていくという考え方です。企業内の教育者もあるでしょうし、社会に役立つ教育者というものもあります。
終身雇用が崩壊しているいま、教育というテーマを通じて、あえてもっと高みを目指す人が増えるといいと思います。
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人材育成コンサルタント。米国PMI認定ProjectManagementProfessional取得。シンガポール大学卒業後、数々の事業立ち上げおよび企業立ち上げを経験。ソフトバンク在籍中の経験を「ソフトバンク流『超』速断の仕事術」(ダイヤモンド社)にまとめて出版した。現在はコンサルティング業のかたわら、専門学校での非常勤講師、講演などに奔走する。
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