Microsoft、Office 2010のRCを限定的にリリース

MicrosoftがOffice 2010のRC版をTechnology Adoption Programに登録したテスターに配布している。一般公開の予定はないという。

» 2010年02月04日 12時30分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 MicrosoftはOffice 2010のリリース候補版(RC)を、同社の「Technology Adoption Program(TAP)」に登録している一部のテスターに提供している。おそらくこのRC版は、同社が昨年11月に開始した大規模なβテストで得たフィードバックを取り入れたものだろう。

 「Microsoftは(TAPの)メンバーにRCをリリースした」とMicrosoftは2月3日、eWEEKへの電子メールで語った。「これは当社のエンジニアリングプロセスで予定していた段階の1つだ。しかし、このコードを広範に提供する計画はない」

 Office 2010は4つのエディションが提供される。Office Home and Business(フルバージョンで279ドル)、Office Professional(499ドル)、Office Home and Student(149ドル)、Office Professional Academic(99ドル)の4種だ。さらにMicrosoftは、PCにプリインストールされたOfficeを上位エディションにアップグレードするためのプロダクトキーカードを割引価格で販売する。提携ハードメーカーの売り上げを強化しようというこの取り組みは、「Microsoftの売上高はPC売り上げに直接的に結びついている」という同社の考えを反映している。

 Microsoftは11月にOffice 2010のβ版を一般公開し、6月の発売前にバグや問題を探し出す手助けを数百万人のテスターに頼んだ。Windows 7のリリースに向けた同社の取り組みを思い起こさせるやり方だ。「わずか7週間で、世界中の200万人以上の人がOffice 2010βをダウンロードし、使ってくれている」とMicrosoftのOffice担当ジェネラルマネジャー、レイチェル・ボンディ氏は1月5日にMicrosoft Office 2010 Engineeringブログで語っていた。「1日に4万回以上ダウンロードされたと言えばもっと分かりやすいだろう」

 だがMicrosoftにとっては、Google Appsなど、同社のシェアを奪う可能性を持つクラウドベースのアプリケーションの脅威が拡大している。対抗策として、MicrosoftはWindows Live会員に省機能版のWord、Excel、OneNote、PowerPointを無料で提供する計画だが、高レベルの機能はOffice 2010のフルバージョンを購入した顧客のみに限定するつもりだ。

 Microsoftはおそらく、企業がプロダクティビティソフトに関して「そこそこでいい」という考え方になって、少なくとも当面はアップグレードを拒むのではないかと懸念しているのだろう。そのため同社は、Office 2010にアップグレードするインセンティブも提供している。Office Professionalのプリインストール版、小売り版、ボリュームライセンス版を利用している企業は6月30日まで、「Open Value Subscriptionを通じたUp-To-Dateディスカウントで、1年目の支払金額を50%オフにできる」とMicrosoftのグローバルパートナーエクスペリエンス責任者エリック・リグマン氏は1月1日にSMB Community Blogで述べている。

 「例えば、米国では1年目に、Windows 7 Professionalアップグレードに35ドル、Office 2007 Professional Plusに91ドルを支払うことになる」と同氏。「さらにSoftware Assuranceプログラムの特典(Office 2010への自動アップグレード、自宅使用プログラムOffice Home Use Rightsなど)もすべて付いてくる」。しかし、現時点でMicrosoftにとって脅威かもしれないのは、世界的な不況でIT予算を抑えている中小企業がアップグレードを拒んだり、Googleなどのクラウドベースの製品に目を向けることかもしれない。

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