DellのCIOが語るIT部門の役割Weekly Memo(2/2 ページ)

» 2010年06月14日 08時17分 公開
[松岡功,ITmedia]
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企業価値を高めるのがIT部門の役割

 DellのIT化における取り組みの話はこれくらいにして、せっかくの機会なので、IT部門の役割やCIOに求められる資質について聞いてみた。

 まず、IT部門の役割についてジョンソンCIOは「企業価値を高めること」と強調し、「既存のITの効率化を図り、削減できたコストを戦略的投資に振り向けることで、Dellにとって新たな価値を生み出せるようなITの仕組みを構築していくことが私たちの役割だ」と説明した。

 CIOに求められる資質については、「オーソドックスに言うと、技術的な理解と先見性、業務上のマネジメント能力、財務的な管理能力を兼ね備えていることが求められる」と語ったうえで、こう続けた。

 「例えば、営業部門がITに対して何を価値として認めるのかと言えば、ひとえにビジネスを拡大できるかどうかだ。そうした営業部門にITを有効活用してもらうためには、CIOは営業部門の戦略を理解し、営業担当の役員と営業用語できちんと話ができなければいけない。そして営業とITのそれぞれに着手すべき優先順位を見極め、最大の効果が出るように結びつけていく手腕が求められる」

 「CIOは経営戦略はもとより、各事業部門の戦略も把握し、理解していないといけない立場。その意味では、各事業部門の責任者と意思の疎通がしっかりとできる関係を日ごろから築いておくことが不可欠だ。理解すべき事業範囲も人間関係も広範囲に及ぶので苦労することも少なくないが、逆にそれがCIOの醍醐味(だいごみ)でもある」

 CIOとして自ら直面していることばかりなのだろう。とても臨場感のあるコメントだった。

 最後に、資質に関連してぜひ聞いてみたかった質問をした。CEOとCIOの関係についてだ。とくにDellには、創業者でカリスマ的な存在のマイケル・デルCEOがいる。CIOとしてどんなことを心がけているのか。

 ジョンソンCIOは「CEOとCIOの関係はたいへん重要だ」と前置きしたうえで、こう語った。

 「ただし、CEOとの関係と同様、先ほど述べたように各事業部門の役員とも意思の疎通がしっかりできないと、私はCIOとしての役目が果たせなくなる。マイケルだけを気にしていればいいのなら楽だが、そうはいかない」

 デルCEOとの信頼関係もサラリと込めたCIOらしいコメントだった。

プロフィール 松岡功(まつおか・いさお)

松岡功

ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。


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