シマンテックは最大16ノードの拡張性を持ち、2ペタバイトのデータを管理できるNASソフトウェアを発表。富士通製のサーバ、ストレージに同ソフトウェアを組み込んだアプライアンス製品を提供することも明らかにした。
シマンテックは6月23日に記者会見を開き、拡張性を特徴としたNAS(ネットワーク接続ストレージ)構築用のソフトウェア「Symantec FileStore」を発表した。2月にシマンテックと業務提携を強化した富士通が、同ソフトウェアを組み込んだサーバおよびストレージを7月に発売することも明らかにした。
Symantec FileStoreは、サーバ(ノード)にインストールし、SCSI、SAS、iSCSIやファイバチャネルで接続して使う。NFSやCIFS、FTPを介してクライアントからストレージに接続できる。
拡張性に特徴を持ち、インストールしたノードやストレージをオンラインで増減できる。最大16ノードまで拡張でき、1クラスタ構成で最大2ペタバイトまでの容量に対応する。アンチウイルス、バックアップ/リカバリ、スナップショットなどの機能も搭載しており、階層化されたデータの管理や保護に適している。
Symantec FileStoreの拡販には、協業関係にある富士通の力を借りる。シマンテックは記者会見において、Symantec FileStoreを搭載した富士通製ハードウェアの出荷を7月26日に開始することを明らかにした。
具体的には、IA(インテルアーキテクチャ)サーバ「PRIMERGY RX300 S6」、ストレージ「ETERNUS DX60/80/90」「ETERNUS DX400 シリーズ」にSymantec FileStoreを搭載した製品を提供する。最小構成価格は126万7800円。音楽や動画配信を手掛けるインターネットサービスプロバイダー、医療関連の画像処理を手掛ける企業など、大容量のデータを扱う企業向け製品としている。
ちなみに、海外では既にSymantec FileStoreを販売しており、導入事例も出ている。例えば、中国のインターネット通信販売大手のタオバオは同ソフトウェアを活用し、1.5ペタバイトに上る商品画像データを管理しているという。
記者会見に臨んだシマンテックの河村浩明社長は、企業のIT環境の変化を指摘。「ITのコンシューマー化」「クラウドコンピューティング」という2つの潮流があると述べる。
この指摘は、iPhoneなどのスマートフォンやTwitterをはじめとするソーシャルメディア、そしてクラウドコンピューティングの活用で発生する大量のデータやトランザクションを企業が最適化し、ビジネスに活用していく必要があることを示唆している。米Gartnerは、コンシューマー分野のIT技術の進化が企業ITに波及する動きを「Consumerlization IT」と呼んでいる。
Symantec FileStoreおよび同ソフトウェア搭載製品の投入には、「急増する非構造化データを低コストかつ効率的に管理する技術」(河村社長)によって、ITのコンシューマー化やクラウドに対するストレージ分野の企業ニーズに応えるという狙いがある。
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