世の中を席巻するクラウドコンピューティング。この波はコンタクトセンター業務を支えるシステムにも押し寄せている。
IT業界に端を発した「クラウドコンピューティング」は、今や社会的にも広く認知された存在になりつつある。多くの企業がクラウドを中核としたサービスや製品を提供し、さまざまな分野での展開を見込んでいる。そうした中、カスタマーサポートの現場でもクラウドを活用したサービスが登場している。
コンタクトセンター向け製品ベンダーであるインタラクティブ・インテリジェンスは、既に米国で提供しているクラウドサービスを日本市場でも本格展開していく。具体的には、PBX(構内電話交換機)やIVR(音声自動応答)、アウトバウンド、レポーティングなどの機能を統合したソフトウェア「Customer Interaction Center(CIC)」のオンデマンド型製品を年内に提供開始する予定だ。
同サービスの特徴は、オンプレミス(自社運用)型のCICに含まれるすべてのアプリケーションを提供している点だ。個別のアプリケーション機能をカスタマイズできないなどの制限はあるものの、低コストで短期間に導入できるほか、既にオンプレミス型を導入しているユーザーがオンデマンド型に切り替える、あるいは、オンデマンド型からオンプレミス型への移行も容易であることから、ユーザーにとってはまさに選択肢が増えた格好となる。
「短期間でシステム導入できるのがクラウドサービスの最大の売り。例えば、企業があるPRキャンペーンを実施するのにコールセンターの座席数を急遽増やしたいといった要望にも迅速かつ柔軟に対応可能だ」と、同社 日本支社長のキース・マーティン氏は話す。従来であれば、コールセンターの1席1席にシステムをインストールしなければならなかったが、オンデマンド型であればインターネット経由ですぐにシステムが利用できるというわけだ。
加えて、クラウドサービスの特性から、システムの保守や運用を一元的に外部委託できる点もユーザーにとって大きなメリットである。
クラウドサービスの営業展開について、低価格、短期導入という強みから、当初、欧米市場では50席以下のコンタクトセンターを運営する中小企業をターゲットに考えていたが、実際には数百席のセンターを保有する大手企業からの引き合いも強いという。マーティン氏は「オペレーターの人数が多くなるほど1ユーザー当たりの導入費用は安くなるため、大規模導入の方がコストパフォーマンスは高いといえよう」と説明する。
日本市場に対しては、企業規模を問わず、コンタクトセンターシステムとオンサイトサポートを統合したい企業を中心に提案活動を進めていく。それに向けた取り組みとして、パートナーによる販売を強化する。現在、同社は販売パートナーとして4社と業務提携しているが、新規パートナーを増やしていく考えだ。既存パートナーについても、トレーニングプログラムなどで積極的に販売教育をするほか、同社自身の営業担当者も増員していくとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.