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» 2011年01月14日 08時00分 公開

アナリストの視点:IT事業者の収益源である保守サービス市場が縮小 (2/2)

[石塚俊(矢野経済研究所),ITmedia]
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クラウドの普及がさらなるビジネスモデルの変革を要求

 運用支援サービスにシフトを進めるなど、多くの事業者が市場の縮小に対応し始めているが、クラウドコンピューティングの登場は、さらなる変革を事業者に求めることになる。

 クラウドコンピューティングでは、アプリケーションからOS、ストレージ、インフラに至るあらゆるレイヤーにおいて、ITリソースはクラウドサービスの提供者(クラウドベンダー)によって集中管理、集中処理される。そのため、ユーザー企業が保有するIT機器の台数が大幅に減少し、従来から保守ベンダーが提供してきたユーザー企業のIT機器をリカバリーするサービスの需要が減退していくだろう。

 現状は、クラウドコンピューティングは普及が進んでおらず、保守サービス市場に与える影響は少ない。しかしながら、クラウドの概念は確実に広まりをみせており、ユーザー企業の多くがシステムの「所有」から「利用」へと意識を変化させている。そのため、保守ベンダーは、将来的なクラウドコンピューティングの普及に備えて、早めに対応を進めるべきである。

 対応策として、保守ベンダーは、クラウドサービスの保守ができるようになる必要がある。今後クラウドコンピューティングが普及していけばクラウドベンダーの下に多くのサーバが集約されることになる。例えば、仮想化で統合したサーバは、障害の切り分けが難しいため、クラウドベンダーも保守対応を外部に委託するようになる可能性が高い。

 もちろん、クラウドサービスの保守を請け負うのは簡単ではない。最新のクラウド関連技術を習得しなければならない上に、グロバール対応力も求められる。これらを習得するためには、社員教育に相応の時間を割く必要があるため、既存のビジネスの稼働率を低下させてしまう危険性もある。

 クラウドサービスの本格的な普及はこれからであるため、既存のビジネスに影響を与えてまで、新たな取り組みを行うのは、抵抗があるかもしれない。しかしながら、保守サービス市場は、ハード単価の下落により縮小に向かっており、クラウドの普及がさらにそれを加速させていく。独立系の保守ベンダーの生き残りが厳しいのはもちろんのこと、グループ会社内の保守サービスを担当している保守ベンダーも、このまま市場の縮小が続けば、再編の対象にならないという保証はない。

 そのため、保守サービスを収益源にしているIT事業者は、現状のビジネスモデルに甘んじることなく、新たな道を模索していくべきだろう。クラウドサービスでは、規模の経済が求められ、少数のクラウドベンダーによる寡占化が進むといわれている。それを保守する事業者も当然小数しか生き残れないだろう。今後、生き残りの道を目指していくのであれば、一刻も早く既存のビジネスモデルを変革していくべきである。

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