リーダーシップと実現力 今の日本にあるべきリーダー像
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» 2011年01月31日 08時55分 公開

自分の役割を楽しもう――シスコ流のコミュニケーション実践術リーダーシップと実現力(2/2 ページ)

[聞き手:國谷武史,ITmedia]
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社長の個人目標を全社に公開

――2011年の年頭所感ではどのようなメッセージを発信しましたか。

平井 「製品からアーキテクチャへの転換を推進しよう」と呼び掛けました。製品を顧客にとって価値ある存在に変えていくということですね。よくソリューションと一括りにしてしまいますが、我々は経営改革が伴うものと伴わないものに分けて、前者をアーキテクチャ、後者をソリューションと捉えています。アーキテクチャを提供するためには、顧客と徹底したコミュニケーションをできるようにしないといけません。

 どのような企業にも創造性が求められるようになりましたが、過去の成功体験からは新しいものは生み出せないでしょう。モデルがない中で、組織として個人として創造性を発揮しなくてはいけないわけです。「企業」という英単語に「Company」や「Enterprise」がありますが、「Company」が「集合体」という意味であるのに対して、「Enterprise」は「企て」です。組織として新しいものを無の状態から創造していくためには、一人ひとりの「企て」を束ねられるようなるコミュニケーションが不可欠です。

 当社でも以前は、会社や上司が提示する目標と個人の目標がどのようにかかわるのかが分かりにくいという意見が聞かれましたが、今ではそれがクリアになり、自分が果たすべき役割が明確になったという声が上がるようになりました。

 また2011年から組織や個人の目標と役割を人事評価の項目としてより明確にし、全社に公開するようにしました。もちろん私の内容を全社員が見ています。これまでは相手に何を期待して良いか、自分は相手から何を期待されているかが不明瞭なままで、仕事を進めなければならないこともありました。公開することで、例えば「私は3番目に掲げた目標を達成するためにこのプロジェクトに参加している」とメンバーに伝えられます。メンバーも「それでは、あなたにこの役割を任せます」とできる。社内のコミュニケーションもこの流れが中心になりつつあります。

―― 自分の目標と役割が明確になればフットワークも軽くなりますね。その分、周囲の評価も厳しくなるのではないでしょうか。

平井 もちろん私自身にもさまざまな評価が寄せられるでしょう。まだ始めたばかりなので、より良い形にしていきたいと思います。

―― 改めて企業に必要なリーダーシップとは何かをお聞かせください。

平井 リーダーシップには、カリスマ性のある人間が組織を引っ張る形や、個人が能力を発揮してそれが組織としてまとまっていくような形など、さまざまな形があると思います。企業が成長を持続していくことを考えると、後者のような多様な人材がリーダーシップを発揮していく組織が求められるでしょう。

 例えば、私は自己紹介の場で自分の役割を「チアリーダー」だと話しています。すべての意思決定を社長が行う必要はないと思います。話し合いを重ねて全員の意思で決定をしても良い部分があるでしょう。社長は組織の頂点ではなくて、経営を担う1つの役割だという感覚ですね。私自身がそのように考えているので、社長に就任してからは価値観を共有するために、コミュニケーションに多くの時間を費やしてきました。ですので、自分の役割は会社を盛り上げる「チアリーダー」です(笑)。

 社内ではリーダーシップとは何かということが「CLEAD」というモデルで明確に定義されています。「C」はcollaborate(協働)、「L」はlearn(学習)、「E」はexecution(実行)、「A」はacceleration(加速)、「D」はdestruction(破壊)です。特に「D」は当社らしさが表れている部分でもありますが、既存の仕組みを打ち破って新しい仕組みを構築していくという方法です。企業は生き物なので、このモデルで進化していかなければなりません。

Ciscoの社員が常時携帯しているというカード。同社の基本理念や文化、目標が記載されている

 仕事は誰にとっても大変なものですが、むしろ楽しむ気概を持つべきでしょう。そうすれば自ら吸収できる部分が広がります。リーダーはそれを自ら体現することで、周囲もそのようになっていくはずです。

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