中小企業の活力を高めるIT活用の潮流 豊富な事例を紹介

業務改善からワークスタイル変革へ クラウドで「完全在宅勤務」を目指す中小企業の活力を高めるクラウド活用の潮流(3/3 ページ)

» 2011年01月31日 19時55分 公開
[伏見学,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

クラウドで働き方を変える!

 マーキュリープロジェクトオフィスがシステム改革の先に見据えているのは「ワークライフバランス」の追求である。実は、今年の社員採用方針として「完全在宅勤務」を掲げている。「素晴らしいクリエイティブを発揮し続ける優秀な人材を集めるためには、自分のライフスタイルと仕事のバランスが効率良く取れる環境を提供しなければならない。例えば、サーフィンが好きな社員であれば海の近くで働き、子どものいる家庭では育児環境に適した土地で働くことでモチベーションも上がるはずだ」と赤堀氏は説明する。

 在宅勤務に関する議論の中で、社員の業務管理の難しさが挙げられるが、システム化によって徹底的な管理体制を構築できるという。具体的には、Force.comやTwitter、Skypeに加えて、プロジェクト全体や社員一人一人の業務進ちょく状況を数的に管理する「Slife Teams」、Web会議システム「GoToMeeting」、リモートアクセスツール「LogMeIn」など複数のITサービスを活用する。

 さまざまなシステムを組み合わせて活用することで、「社員のパフォーマンスを細かく管理できるし、パフォーマンスの低い社員に“サボっていただろう”と言葉で指摘するよりも、データに語らせた方が説得力は増す。しかも、定量的なのでほかの社員と同一条件でフェアに評価ができる」と赤堀氏は力を込める。

 社員管理というと戦々恐々とする人も多いはずだ。しかし、それによって社員一人一人の仕事は効率良く進み、結果として、だらだらと残業しないなどの効果が生まれる。

 同社はかつて、緩やかなマネジメントが施されていたが、Force.comの導入をきっかけに、業務プロセスの厳しい管理を断行した。元来、自由闊達な雰囲気を好むデザイナーたちからは大きな反発を招き、辞めていった社員もいた。しかし、「今までのやり方を続けていても、新しいビジネスは生まれてこない。制作会社としてスケールアウトするためには、すべてを捨てる覚悟が必要だった」と、赤堀氏はトップダウンによる改革を推し進めた。大きな痛みは伴ったものの、結果として、システムによる業務管理が成功したことは先に述べた通りである。

「社員の業務を徹底して管理することで、効率が上がり無駄な時間がなくなる。そうすれば、仕事を早く切り上げて余暇を家族や趣味などに費やすことができ、社員のワークライフバランスの向上につながるというわけだ」(赤堀氏)

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ