Google、MicrosoftがGoogleの検索結果をBingに利用していると主張

Googleが“おとり捜査”の結果、Bingの性能向上にGoogleの検索結果データが流用されていることが分かったとし、「すぐにやめてほしい」と主張したが、Microsoftは流用を否定している。

» 2011年02月02日 09時55分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 米Googleは2月1日(現地時間)、米Microsoftが検索エンジン「Bing」の性能を向上させる目的で、Google検索の結果データを流用していることが明らかになったと公式ブログで主張した。数カ月にわたる“おとり捜査”の結果、流用を確信したとしている。

 GoogleがMicrosoftによる流用の可能性に気づいたのは2010年夏のことで、「tarsorrhaphy(瞼板縫合)」という専門用語のスペルミスと考えられる「torsorophy」を「もしかして」に反映させたのが始まりだったという。この時点ではBingでtorsorophyと入力してもスペルミスを反映した検索結果は表示されなかったが、しばらくするとスペルミスの指摘もなくtarsorrhaphyの検索結果が表示されるようになった。

 この結果を受け、Googleはこの可能性を裏付けるための実験をスタートした。まず、100あまりの合成クエリ――一般のユーザーが入力しそうもない架空の単語――を作り、関連しないWebサイトと関連付け、20人のエンジニアにまずGoogleでこれらのクエリを入力・結果をクリックしてもらい、その後でInternet Explorer(IE) 8上のBingでも同じ操作をしてもらった。

 その結果、数週間後にはこれらの合成クエリのBingでの検索結果がGoogleと同じになったという。

bing 合成クエリの検索結果比較(上がGoogle、下がBing)

 Googleはこの結果から、BingはGoogleの検索結果を流用していると結論付けた。同社は「われわれはイノベーションを信じており、われわれの検索クエリに誇りを持っている。ユーザーのために検索アルゴリズムを向上させるために多大な人月を費やしており、これは簡単なことではない。われわれは競争相手の検索結果をリサイクルしているようなアルゴリズムと競争したくない」と主張し、この結果を公表したのはMicrosoftにこの行いをやめて欲しいからだと説明している。

 この件についてはGoogleが公式に発表する前に米ブログメディアのSearch Engine LandがGoogleから聞いた話として投稿しており、それに対しMicrosoftが公式ブログで流用を否定するコメントをしている。Microsoftは「われわれはランキングアルゴリズムで1000以上のシグナルや機能を利用している。検索結果の共有をオプトインしているユーザーのクリックストリームデータもそこに含まれている」とし、「今回の“スパイ小説のような”行為はBingでのユーザーデータの使い方を正確に証明していない」と述べている。

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