人口の動態を把握する仕組みがない地域で住民の動向を追跡できるようにする調査において、本人特定に静脈認証が活用できるかを検証する。
長崎大学と日立製作所は3月12日、長崎大熱帯医学研究所がケニアで取り組む「健康と人口の動態追跡調査システム(Health and Demographic Surveillance System=HDSS)」の研究で、指静脈認証を用いた本人特定に関する実証実験を行うと発表した。住民情報の本人特定の精度を高めるのが目的となる。
HDSSは、住民登録や人口の動態(婚姻、出生、死亡、移動など)を把握する仕組みが場所や地域で、そこに居住する全ての住民を登録し、その動向を系統的に継続して把握できるようにするもの。長崎大はケニア国内の2地域で10万人規模の調査を継続しているが、重複登録など課題になっているという。
今回の実証実験では日立の指静脈認証を利用し、本人特定の精度向上を図ることができるかを検証する。ケニア南西部のコースト州クワレ県で600人規模を対象に実施し、HDSSで集めた住民情報とマッチングさせ、3カ月後の健康調査時の本人同定に用いる。実証実験の成果を踏まえ、将来的にはHDSSの動向調査に指静脈認証を適用して、ワクチンの接種記録やマラリア予防のための蚊帳の提供、病院情報との連結など住民情報の拡充に役立てたいという。
実験期間13日から24日まで。
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