IDC Japan、2012年の国内IT市場予測を上方修正

IDC Japanが、国内IT市場の2012年の成長予測を前回発表時の「1.1%増」から「2.3%増」へと上方修正。「2012年上半期のPC需要が思ったより大きく、HPCの需要も大きかった」のが理由という。

» 2012年08月08日 17時10分 公開
[岡田靖,ITmedia]

 IT調査会社のIDC Japanは8月8日、「国内製品別IT市場予測」を発表した。2011年の国内IT市場は、前年比0.9%減の13兆1665億円規模だった。一方、2012年には前年比2.3%増の13兆4691億円規模になると予測している。

 また、同市場に通信サービス市場を加えたICT市場は、2011年は前年比0.7%減の24兆5656億円規模だったのに対し、2012年には前年比1.3%増の24兆8874億円規模になると見込んでいる。

photo 和田英穂ITスペンディング/ソフトウェア&セキュリティ グループディレクター

 2011年のIT/ICT市場は、東日本大震災やその後の電力不足、欧州の財政問題やタイの洪水などに影響され落ち込んだものの、2012年には復興財政支出や金融緩和、エコカー補助金などによって景気が好転し、両市場ともプラスに向かうという。また、2009年のリーマンショックから5年後となる2014年には“更新サイクルの谷”が来るものの、2011〜2016年の年平均成長率は0.7%のプラスで推移するとみる。

 この予測は同社が四半期ごとに発表しているもので、今回は2012年第1四半期の実績を受けた最新版となる。なお今回の予測では、前回の予測(2012年6月4日発表)に対し、IT市場の2012年の前年比成長率が「1.1%増」から「2.3%増」へと上方修正されている。

 上方修正の理由について、同社の和田英穂ITスペンディング/ソフトウェア&セキュリティ グループディレクターは「2012年上半期のPC需要が思ったより大きく、HPC(High Performance Computing)の需要も大きかった」と説明している。

photo 2016年までの国内IT市場推移予測(出典:IDC Japan)

 IT市場の成長率を製品分野別でみると、スーパーコンピュータ「京」特需の反動でサーバ分野は落ち込むものの、他の分野では多くが改善するとみられ、PCやソフトウェア、HCP(プリンタや複合機など)といったオフィス関連の分野で改善の度合いが大きい。また、企業のIT支出に関する調査結果では、2012年4月は2011年10月に比べて「減少」の回答が減っており、企業のIT投資意向は回復傾向にあるとしている。

photophoto 製品分野別の成長率(左)、企業のIT支出に関する調査結果の推移(出典:IDC Japan)

 一方、グローバルのIT市場規模は、2012年には前年比6.5%増の2兆230億ドルになるとみる。その主な要因は、日本市場を超えて世界2位になるとみられる中国などの新興国市場や、IDC Japanが「第3のITプラットフォーム」と呼ぶ分野の盛り上がりだという。

photo 2006〜2016年のIT市場の推移。年平均成長率をみると国内IT市場ではマイナス0.6%と横這い傾向であるのに対し、グローバルでは4.6%と成長が続き、日本市場の比率は相対的に小さくなっていくと予測される

 第3のITプラットフォームとは「クラウドサービス」や「モビリティ」、「ソーシャル」、「ビッグデータ」などで構成される新たなITプラットフォームのことを指す。同社はメインフレームと端末による第1世代、PCやインターネット、クライアント/サーバ環境による第2世代に続き、ITは新たな段階に入っているとして、この新分野を提唱している。2012〜2020年のグローバルICT市場の成長予測のうち、第3のITプラットフォームの寄与度は70.4%に達すると見込んでいる。

photophoto 主な新興国のIT市場成長率。多くの国では10%超と高い成長が予測されている(左)、2020年までのワールドワイドICT市場における「第3のITプラットフォーム」の割合

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